『第30回三島由紀夫賞』と『第30回山本周五郎賞』の選考会が本日5月16日に行なわれ、『三島由紀夫賞』に宮内悠介『カブールの園』、『山本周五郎賞』に佐藤多佳子『明るい夜に出かけて』が選出された。
『三島由紀夫賞』に輝いた宮内は、1979年生まれ、東京出身。2012年に発表した初の単行本『盤上の夜』が『第147回直木三十五賞』候補に選出され、『第33回日本SF大賞』を受賞した。『ヨハネスブルグの天使たち』が『第149回直木三十五賞』候補に、『アメリカ最後の実験』で『第29回山本周五郎賞』候補になった。今回の受賞作『カブールの園』は『第156回芥川龍之介賞』の最終候補に挙げられていた作品で、サンフランシスコで暮らす日系三世の女性が、日系アメリカ人の元収容所を訪れる様を描いた。
『山本周五郎賞』を受賞した佐藤は、1962年生まれ、東京出身。1989年に小説家としてデビューし、1998年の『しゃべれども しゃべれども』、2003年の『黄色い目の魚』で『山本周五郎賞』候補に選出された。2007年には『一瞬の風になれ』が『第136回直木三十五賞』候補に選ばれたほか、『第4回本屋大賞』に輝いた。受賞作『明るい夜に出かけて』は、深夜ラジオのリスナーを主人公にした青春小説となる。
新潮文芸振興会によって1988年から実施されている『三島由紀夫賞』は、小説、評論、詩歌、戯曲が対象。副賞100万円。選考委員は川上弘美、高村薫、辻原登、平野啓一郎、町田康。今回の候補作には、宮内のほか古谷田奈月『リリース』、町屋良平『青が破れる』、岸政彦『ビニール傘』、高橋弘希『スイミングスクール』が挙げられていた。
同じく新潮文芸振興会によって1988年から実施されている『山本周五郎賞』は、大衆小説や時代小説が対象。副賞100万円。選考委員は石田衣良、角田光代、佐々木譲、荻原浩、唯川恵。今回の候補作に挙げられていたのは、佐藤のほか澤村伊智『ずうのめ人形』、朝倉かすみ『満潮』、相場英雄『不発弾』、木下昌輝『敵の名は、宮本武蔵』。