河瀬直美の演出によるジャコモ・プッチーニのオペラ『トスカ』が、10月15日の新潟・りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館公演を皮切りに全国5都市で上演される。
同公演は、プッチーニのオペラ『トスカ』の物語の舞台を、1800年のイタリア・ローマから古代日本の架空の集落「牢魔」に移した新演出で上演。陰謀や壮絶な愛と死を「祝祭の1日に起きた悲劇」として描く。今回がオペラ初演出となる河瀬が自ら手掛ける映像と、アメリカ・ニューヨーク在住の建築家・重松象平による舞台美術とのコラボレーションも見どころのひとつとなる。
村娘のトス香役にルイザ・アルブレヒトヴァ、カバラ導師・万里生役にアレクサンドル・バディアがキャスティング。共演者に須賀ルピオ役の三戸大久、アンジェロッ太役の森雅史、堂森役の三浦克次、スポレッ太役の与儀巧、シャル郎役の高橋洋介、看守役の原田勇雅が名を連ねる。指揮は新潟、富山、沖縄公演を大勝秀也、東京、石川公演を広上淳一が担当。
チケットなどの詳細は各劇場のオフィシャルサイトで確認しよう。なお同公演は、文化庁の支援を得てオペラを新演出で制作する『全国共同制作プロジェクト』の一環として上演される。
■河瀬直美のコメント
オペラ演出の経験がないわたしにプッチーニのトスカを演出しないかというお話。ああ、オペラはそれほど自由なのかと畏れ入った。「自由」ほど難しいものはないが、演出依頼の理由はこうだ。「主人公はじめ、主要人物がみんな死んでしまう救いようのない悲劇」そんな異名をもつ本作品に「希望」を与えられる作家だと思うから。大役を仰せつかった。けれど、物怖じしてはいられない。初挑戦に心はたかぶる。そんなこんなでお引き受けしたオペラ演出のお仕事。お仕事とは思えない感情。創作というものの原点に立ち戻るような感覚の中で初めての事柄に右往左往しながら、それでもかの「希望」に向かって突き進むのである。