佐藤琢磨は前戦インディカーGPまでマシンのストレートの伸びに悩まされ続けたが、インディ500はマシンも一新されるため、気分も一新。新たな気持ちでプラクティス初日を迎えた。
琢磨は以前のインタビューで「アンドレッティは過去インディ500ではリザルトが良いですよね。インディ500はチームごとにプラクティスのメニュー、クルマの仕上げ方がそれぞれ違う。僕もこのチームに来て初めてのインディ500だから、どのようにクルマを仕上げていくのかが楽しみだし、期待もしてます」と語っていた。
午後2時からのプラクティス開始早々から、琢磨のペースが良い。スーパースピードウエイ仕様のマシンはシェイクダウンながら、すぐに220mphをオーバー。29周目には223.587mphの自己ベストタイムもマークした。この安定したタイムアップはイニシャル(初期)のセッティングが良い証拠だろう。
マシンのフィーリングを伝えながら、途中ライアン・ハンター-レイのフロントウイングを試すなど、チームの共同作業もこなしている。見ている限りではいろいろな個所の確認作業が主で、大きくセッティングを振ったり、ダウンフォースをどんどん削るような作業はしていない。それでもさらりとタイムが出るのだ。
セッションの最後には20周足らずだがマルコ・アンドレッティ、ハンター-レイ、アレクサンダー・ロッシと共にチームランをしてトラフィックの中でマシンのフィーリングも確かめることができた。
初日を10番手以内のタイムで無事に終えられたのも、インディ500を走り始めてから初めての事だ。
「AJフォイトの頃はいつも初日はシェイクダウンで終わりでしたからね」と苦笑い。
「いい1日でした。初日からグループラン出来たのもインディ500を走って来て初めてだったし、このチームがどうやってクルマを仕上げていくのかが、わかっただけでも良い1日だったと思います」
「もともとアンドレッティのクルマはここでは速いですし、シェイクダウンでも期待通りのパフォーマンスを見せてくれたと思います。ただ他のチームもパフォーマンスは上がって来ていますから、今まで通りのアドバンテージは得られないかもしれませんけど、これから2日目、3日目とマシンを仕上げていくのが楽しみになりました」と、琢磨の表情からも充実した1日だったことがわかる。
フェルナンド・アロンソはチームのグループランに参加出来なかったものの、プラクティス初日はマルコ・アンドレッティがトップタイム。ルーキーのジャック・ハーベイがクラッシュしてしまったが、チーム全体は順調な初日だったと言えるだろう。
このまま順調にプラクティスのプログラムをこなしていけたのなら、琢磨に2012年以来のトップ争いを期待しても良いかもしれない。