5月12~14日にELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズとの併催で行われたTCRインターナショナルの第4戦モンツァは、ハンガリーを拠点とする今季初参入チームのM1RA、ロベルト・コルチアゴがレース1を制覇。この勝利で、コルチアゴは17年シーズン初の2勝目を挙げたドライバーとなり、2位にチームメイトのアッティラ・タッシが入ったことで、ホンダ・シビックTCRが伝統の超高速トラックで見事なワン・ツー・フィニッシュを飾った。
M1RAの2台は快晴の元で行われた予選Q1から速さをみせ、地元イタリア出身のベテラン、コルチアゴがタッシにラインを伝授するかのように周回を重ねQ1で最速を記録。しかし、グリッドを決めるQ2で2台の前に立ちふさがったのは、前戦スパ・フランコルシャンからインターナショナル・シリーズに参戦してきたベルギー人、フレデリック・バービッシュだった。
2連覇中の王者ステファノ・コミニのチームメイトとして、コムトゥユー・レーシングの2台目のアウディRS3 LMSをドライブするバービッシュが「戦前の予測どおりアウディの最高速を活かすことができて良かった」と逆転ポールポジションを獲得した。
迎えた土曜のレース1。無難なスタートを切ったアウディRS3 LMSだったが、その加速を上回ったのがホンダ・シビック・タイプR。コルチアゴとタッシの2台はファーストシケインまでにバービッシュをかわすと、そのままチームメイト編隊を組んで逃げの体勢へ。
その背後では中団車列がシケインへの進入で混乱となり、クラフト-バンブー・ルクオイルのセアト・レオンTCR、ぺぺ・オリオラがマット・オモラ(オペル・アストラTCR)をプッシングし、アストラがスピン。
そこにコミニと、ウェストコースト・レーシングのジャンニ・モルビデリ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)が巻き込まれ、そのアクシデントを避けようと、モルビデリのチームメイトであるジャコモ・アルトがコース外へと退避。
ふたたび合流しようとした際に、今度はオリオラのチームメイト、ヒューゴ・バレンテのセアト・レオンとヒット。これで地元イタリアのティーンエイジャー、アルトのマシンは走行不能となり、オープニングラップから有力ドライバーに次々と不運が襲いかかる波乱の展開となってしまう。
■レース2は2連覇中の王者コミニがレースを支配
その流れが味方したのが先頭を走るM1RAの2台。セカンドシケインで3番手バービッシュのレイトブレーキングをタッシがしのぎ切ると、2周目の第1シケインでは3番手バービッシュに4番グリッドからスタートのアルファロメオ・ジュリエッタ、ダビド・カヤイアが地元の大声援を受け猛チャージ。
2台は接触しながらシケインをクリアすると、その後もサイド・バイ・サイドのバトルを披露。さらに中団でもバトルによる接触、シケインカットが頻発し、めまぐるしく順位が入れ替わり、終盤シビックを追ったのはジリジリとポジションを上げてきたセアト・レオンTCRのオリオラとなった。
そして9周目。オリオラからの再三のプレッシャーにさらされていた2番手タッシは、レズモ・コーナーでブレーキングを誤りわずかにオーバーラン。その間隙を突いてオリオラがついに2番手に浮上する。
しかしすぐさま反撃に転じたタッシは、翌10周目のホームストレートで速度を乗せ、オリオラとテール・トゥ・ノーズの状態に持ち込むと、ロッジアでふたたび2番手に浮上。その際にシビックのリヤにコンタクトしたオリオラのマシンはフェンダーが吹き飛ぶダメージを負ったが、11周のレースはそのままチェッカー。
コルチアゴが今季2勝目、タッシが2位に入り、M1RAがパワーサーキットでマシンの優位性を証明するワン・ツー。3位にオリオラ、4位に前戦勝者レパード・レーシングのジャン-カール・ベルネイ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)が入った。
続く日曜のレース2は、リバースグリッドの3番手からスタートしたコミニが抜群のダッシュで先頭に立つと、そのままレースを支配。しかし、そのコミニを脅かしたのは、9番グリッドから次々とライバルをかわしてきたコルチアゴのシビック。
1周1台のペースで仕留めてきたコルチアゴは、9周目にアウディRS3 LMSのリヤバンパーをついに捉えると、10周目の1コーナーでアウトからオーバーテイク。しかし、コミニもすぐさま反応し、ロッジアのブレーキングでコルチアゴを再度逆転。
最終ラップのパラボリカ進入でもきわどい攻防を制したコミニが、コルチアゴに続く今季2勝目。わずか0.170秒差の2位に連続表彰台のコルチアゴ、3位にバービッシュのアウディが入り、上位11台が4秒差以内でのフィニッシュという大混戦となった。
次戦となる第5戦は6月10~11日にオーストリア・ザルツブルグリンクでの単独開催となる。