2017シーズンのFIAヨーロピアンF3選手権(ユーロF3)に、高校生ドライバー佐藤万璃音がデビューした。第1大会は4月14~16日にイギリス・シルバーストンで、第2大会は4月28日~5月1日にイタリア・モンツァで、それぞれ開催された。直近2大会を戦い終えた万璃音は、次のように切り出した。
「2月にモトパークからのユーロF3参戦が決まって以降、アニメを観たり、ラノベ(ライトノベル)を読んだり、ライブを楽しんだり、ゲームに夢中になったり、アキバへ行ったり──そうした楽しい時間が激減して落ち込み気味の佐藤万璃音です」
「しかも、17シーズンは僕のレーススケジュールと(アニソンアーティストの)LiSAさんのアリーナツアーが重なり、ライブを観覧できなくなったので悲しくて仕方ありません」
「今年はチーム本拠地のあるドイツ・オッシャースレーベンへ行く機会が増えました。テストやレースの前には必ずモトパークのファクトリーへ顔を出し、エンジニアと来たるイベントに向けての打ち合わせ、チーム保有のシミュレーターで数日間の特訓と、修行僧のような日々です」
「ホテル暮らしも多くなり、つかの間(イタリア・)フォルリへ戻っても、トレーニング、炊事、洗濯、掃除、学業で毎日がいっぱいいっぱい」
「日々の少ない楽しみのひとつが食事です。フォルリにいる間は自炊したり、行きつけのレストランを訪問したり、それなりに充実しています。ただ、オッシャースレーベンはフォルリに負けないくらいの田舎で、食事の面ではまったく期待できません」
「開幕大会で訪れたイギリス・シルバーストンでは、中華料理とポルトガル・モザンビーク料理などでなんとかしのぎました。和食が恋しくて仕方ありませんでした」
■「シーズン開幕前はぶっちぎりの最下位争いを予想」。開幕2戦で上位進出に手応え
「第2大会のイタリア・モンツァはとても楽しみにしていました。ミラノ中心部へはクルマで30分少々なので、レースの週末に2回も繰り出しました。もちろん僕の目当ては和食です(汗)」
「1回目は“大阪”という日本料理屋さんでランチにトンカツ定食、2回目は“ふくろう”という日本料理屋さんでディナーに油そばとめんたい高菜ご飯をいただきました。この先しばらくは縁遠いだろう和食を堪能しました」
「モンツァの第2大会を終えた5月初旬、僕はフォルリのアパートへいったん戻りました。FIA-F4イタリア選手権(イタリアF4)に参戦していた過去2シーズンに比べると、ニワトリの鳴き声で目が覚める田舎のアパートで過ごす時間も激減し、部屋の荷物も少なくなって部屋はガランとしています」
「着替えなどを詰め込んだレース用キャリー・バックひとつを抱え、アパートに落ち着く暇もなくヨーロッパ各地へ転戦です」
「ところで、5月12日は僕の誕生日。以前から、18歳になったら自動車運転免許を早く取りたいと思っていました。7月にいったん帰国する予定ですが、滞在期間が半月くらいしかありませんし、日本ではラーメン屋さん巡りもしたいので、免許を取れるかどうかは微妙なところ」
「この機会を逃してしまうと、シーズンオフを待たなくてはなりません。いまいちばん乗りたいクルマはアウディRS6で、早く公道デビューを叶えたいですね」
「最後に過去2大会のレースを振り返ると、実のところシーズン前はぶっちぎりの最下位争いを予想していました。しかし、シルバーストンでもモンツァでも結果こそ残せませんでしたが、上位入賞がまったく見えなかったわけではありません」
「ライバルの危険なブロックに阻まれて叶わなかったとはいえ、しっかりと戦えたという手応えは得られました。これからのレースがとても楽しみです」
ユーロF3第3大会は5月19~21日にフランス・ポーの市街地コースで実施される。万璃音にとっては初めてのコースであり、初めての公道レース。彼自身は苦戦を予想しているが、過去2大会で競り合いの強さで先行車両を抜きまくった万璃音の走りにふたたび注目したい。