トップへ

F1 Topic:泣く子を笑顔にしたライコネンの魔力、フェラーリが少年をパドックに招いた舞台裏

2017年05月15日 11:03  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

ライコネンから少年にサイン入りキャップをプレゼント
スタート直後の1コーナーで多重クラッシュに巻き込まれ、ライコネンがオープニングラップでリタイアした後、FOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)の国際映像が、グランドスタンド泣きじゃくるフェラーリのウェアに身を包んだひとりの子供を映し出した。 

 この子とその家族はその後もレース中に何度かテレビカメラにとらえられ、ついにはキミ・ライコネンと出会うシーンまで流された。いったい、何があったのか?

 フェラーリのスタッフに確認してみた。
「国際映像で泣きじゃくる姿を見たわれわれのスタッフのひとりがなんとか彼を笑顔にしたいと提案した。そこでFOMに電話して、彼の居場所を探し出そうとなったんだ」(某フェラーリ・スタッフ)

 その後、電話を受けたFOMのスタッフがテレビカメラのクルーに場所を確認して、フェラーリにスタンドの場所を伝えたという。場所を聞いたフェラーリのスタッフは、パドックに入ることができるゲスト用VIPパスを家族3人分用意して、グランドスタンドへ行き、レース観戦中の家族に面会。もちろん、家族は二つ返事でパドックへ行くことに同意した。

 この幸運な家族はフランスのアミアンから観戦に訪れていたダネルさん一家で、泣きじゃくっていた子供は6歳のトマくんだった。


 F1のパドックに初めて足を踏み入れたダネルさん一家には、さらなるサプライズ・プレゼントが待っていた。それはフェラーリのチーム関係者しか立ち入ることができないチーム専用のモーターホームの2階に案内されたのである。そこにはドライバーのプライベートルームがあり、リタイアしたライコネンが笑顔でダネルさん一家を待っていた。

 スタッフから経緯を聞いていたライコネンは、自分がリタイアしたことに落胆してくれたトマくんに、自分のキャップにサインを入れて渡し、さらにレーシングシューズもプレゼントした。

「まだ小さいので、レースは見るだけで、やっていないけど、こんな素晴らしいプレゼントをもらったから、きっとやりたいと言い出すかもしれないわね」と笑うのは、母親のコラリーさん。トマくんだけでなく、家族みんながフェラーリ・ファンというダネルさん一家。この日、フェラーリが優勝するシーンは見られなかったが、ダネルさん一家は人生最高の思い出を胸に笑顔でサーキットを後にしていた。