トップへ

"ヨギー"を取り込む北米ブランドが再び日本に、ルルレモンが仕掛けるグローバルの施策とは

2017年05月14日 19:05  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com

アジア地区上席副社長のケン・リーとアジア地区ブランド&コミュニティ・ディレクターのアマンダ・カスガー Image by: FASHIONSNAP
カナダ発アスレチックブランドの「ルルレモン(lululemon)」が先月開業した「ギンザシックス(GINZA SIX)」への出店を皮切りに、国内での本格展開をスタートした。これに合わせて、アジア地区上席副社長のケン・リー(Ken Lee)とアジア地区ブランド&コミュニティ・ディレクターのアマンダ・カスガー(Amanda Casgar)ら幹部が来日。アスレジャーブームを背景に専門メーカーからファストファッションブランドまで手軽にスポーツウエアが手に入る時代だが、プレミアムブランドという位置付けで高価格帯にも関わらず、世界中の"ヨギー" (ヨガ愛好家の名称)から根強く支持されている理由とは。2000年代の一時撤退を経て、再上陸を果たしたブランドが実践する長期的なビジネスを構築するための「成功の鍵」を探った。

 「ルルレモン」は1998年にカナダのバンクーバーで創業。ヨガパンツの販売からスタートし、ヨガ講師の間で話題となり口コミから評判が広がった。現在はメンズも展開しているが、当時ウィメンズのみのアスレチックブランドは珍しかったという。アマンダ・カスガーは「ルルレモンはヨガウエアにテクニカルの概念を初めて取り入れたブランド。それまでヨガウエアというとぶかぶかのバギーパンツにボーイフレンドから借りたTシャツを羽織る、というようなスタイルが主流だった。そこにヨガの動きに対応する機能性を備えたストレッチ素材を使用し、タイトなシルエットとデザインを反映させたことで人気に火がついた」とブランドの黎明期を説明。ヨガを生活に取り入れている本格志向のヨギーから支持されてきたブランドの背景から、近年のトレンドであるアスレジャーとは異なる位置付けで成長してきたと言える。現在ではヨガに留まらず、様々なスポーツに向けてウエアを展開しており、昨年行われたリオ五輪ではビーチバレーボールカナダ代表の競技用ユニフォームを提供するなど、アスリートが着用するウエアも手がけるようになった。
 ブランドは一度、2000年代前半に販売代理店を通じて日本に上陸していた。ケン・リーは当時を振り返り「日本国内に代理店を持ったことで我々の強みとする商品開発や人材育成を発揮することができなかった。今回はもっと直接的な方法で本部と連携し、人材や商品のハンドリングを行っている」とし、前回とは異なる形で日本展開を進めているという。銀座への出店が決まったのは3年前で、ルルレモンの強みを活かすため、約1年前に原宿にコミュニティ作りのためのショールームを開設した。ショールームは原宿の地に溶け込ませるためオープンは公に発表せず、市場調査を含めたテストストアとして運営。店舗オープン前にショールームを開設するのはブランドが実践しているグローバルのビジネスモデルで、原宿では週2回のペースでヨガをはじめとするイベントを開催し、徐々にコミュニティを広げていった。ギンザ シックス店のオープン時にはそういった準備期間で築いた多くの"仲間"が開店祝いに駆けつけたという。 「私たちは地域密着型の店舗づくりを目指している。
全米に現在350店舗あるが、これは出店計画があったわけではなく、"プル(PULL)"と"プッシュ(PUSH)"、つまり需要と供給に基づき、その土地やコミュニティからニーズがあって実現した。ニューヨークのマンハッタンだけでも12店舗構えているが、それだけのコミュニティがエリアに存在するということ」
とブランド拡大の経緯を振り返る。
日本でも新たに大阪にショールームを構えるなど地域密着型のビジネスモデルを推進しており、「

コミュニティや人との繋がりを作っていくことで長期的なビジネスが築けるという考え。
短命ブランドにならないためにも時間や資金を惜しまず、投資していくことが大切」と、ブランドが掲げるビジネス論を語った。ルルレモンならではの方程式で今後も日本でコミュニティの輪を広げ、ロイヤルカスタマーの獲得を目指していく。
関連ニュース>>ヨガウエアで人気「ルルレモン」がギンザシックス出店、国内展開を本格スタート(2017年4月12日)