ホンダF1プロジェクト総責任者の長谷川祐介氏は、パワーユニットの大型アップデートを、当初目指しているとみられていたカナダGPで導入できない可能性があると示唆した。
マクラーレンのパワーユニットパートナーであるホンダは、今季はパフォーマンス、信頼性ともにふるわず、苦しんでいる。開幕戦の時点で、ホンダはパワー向上にフォーカスしたアップデートを5月中に用意したいとの考えを示しており、モナコかカナダに導入される可能性があると考えられていた。しかしスペインGPで長谷川氏は、6月11日のカナダGPに間に合うとは断言できないと述べた。
ホンダはシングルシリンダーで試して成功した燃焼テクノロジーが、6気筒になるとしばしばトラブルが発生するという問題を抱えていた。
最近ではイルモアやメルセデスとのコンサルタント契約に関するうわさもささやかれている。
大型アップデートの導入時期について、長谷川氏は次のように語った。
「カナダはパワーサーキットなので、新しいエンジンを準備できるなら、そうしたいです。でも用意できるかどうかは分かりません」
基本的に今季ここまでのところ、エンジンマップと信頼性に関する変更を行うにとどまっているホンダだが、スペインにはインダクションと燃料システムの改良版を導入した。それによって序盤4戦に問題視されていたドライバビリティの問題はほぼ解決したとホンダは述べているという。
「ここではエンジンコンポーネントは変わっていませんが、インダクションシステムと燃料システムはアップデートされています」と長谷川氏。
「とてもいいアップグレードですが、それでもトップチームとのギャップはまだあるので、それほど満足はできません」
長谷川氏は、スペインGP金曜FP1でフェルナンド・アロンソに発生した問題は、オイルシステムのメカニカルトラブルであると説明、決勝では再発しないと確信しているという。
「データを見ると、まずオイルが失われ、それから油圧が低下しました。それまでエンジンは問題なく動いていたのですが、油圧が落ちてエンジンが壊れてしまいました」
「油圧低下はオイルフィードのメカニカルな問題から来ているものと考えています」
アロンソはチームにとって今季初となる予選Q3に進出、7番手を獲得した。ここまでの4戦、チームはまだノーポイント、アロンソはフィニッシュさえしていないが、トップ10以内からのスタートは、今シーズン初となる入賞への大きなチャンスになる。