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木村文乃にときめきが止まらない! 『ボク、運命の人です。』第5話で発揮された魅力

2017年05月14日 11:43  リアルサウンド

リアルサウンド

リアルサウンド映画部

 放送開始から1ヶ月経って、未だに主人公の恋模様に大した進展が訪れないことにヤキモキしながらも、残り半分でどうまとまるのかという期待を胸に、その過程を楽しむのが『ボク、運命の人です。』の楽しみ方だ。筆者個人としては、これまでのどの作品よりも魅力的に撮られている木村文乃の一挙手一投足にときめいてしまうわけだが、13日に放送された第5話では、とくに彼女の魅力が発揮されていたと感じた。


参考:亀梨和也&山下智久『ボク、運命の人です。』で名台詞連発 『プロポーズ大作戦』との共通点を読む


 前回の第4話のクライマックスで、壁越しの電話シーン(まるで2004年に日本で公開された金城武主演の香港映画『ターンレフトターンライト』を思い起こさせる名シーンだ)で、亀梨演じる誠からちゃんこ屋に誘われた木村演じる晴子。今回はそのちゃんこ屋で、彼女が長年応援し続けた力士(安田大サーカスのHIROが意外とサマになっているのだ。)に偶然遭遇し、断髪式に招待されるのである。


 相変わらずクール&ドライな晴子のキャラクターらしいキレのあるツッコミは炸裂し、中でも菜々緒に放つ「バカなの?」は最高としか言いようがない。そして、それとは対照的な照れの表情が見え隠れし始め、ますます彼女のキャラクターにメリハリを与えている。田辺誠一演じる誠の会社の部長との会話シーンや、両親に人参(第4話で誠が日本一の人参農家からもらったものだ)について訊かれる場面で、明らかに誠を意識し始めている表情が窺えるのだ。


 また、これまでの回でも頻繁に使われてきた伏線の張り方が、今回一層冴え渡る。晴子の父が結婚記念日のプレゼントとして贈るジバンシィのナイチンゲールといえば、以前大倉孝二のセリフの中にちらりと登場したものであったり、田辺誠一が水の契約をしてくれた晴子に「末長くお付き合い宜しくお願いします」と言ったセリフが、終盤の缶に書かれる言葉とシンクロしていたり。


 そんな数々のシンクロが、終盤の断髪式の場面では、同じ会場で結婚式を挙げた晴子の両親の記念写真と重なるというのは実に秀逸であった。ひと場面ひと場面が30年前の写真と同じように映し出される演出が施されるのだ。その流れで、海沿いの道を歩く誠と晴子の横を駆け抜けていくブライダルカー(30年前の両親が乗っていたものと同じナンバープレートというのが、撮影上の都合を感じながらも上手く活きている)を見ると、最終回でふたりがこれに乗ることを予感せずにはいられない。「絶対に嫌だ」と両親に言った晴子のセリフが、フラグとなるのだろうか。


 そういえば、相変わらずコミカルなやり取りを展開する“亀と山P”のふたり。今回は、山下がコンポのスイッチを入れた途端に『金田一少年の事件簿』のテーマ曲が流れ始め、カット割りもそれにオマージュを捧げる。スペシャルドラマで一度しか演じたことはないとはいえ、亀梨といえば“三代目金田一一”だったのだ。そんな彼の前で「名探偵には程遠いな」と言い放ち、決め台詞「ジッチャンの名にかけて」を奪うというのも、実に愉快な場面である。


 ちなみに今回の劇中で何度も話に上がった映画『オーバー・ザ・トップ』。1987年に日本でもヒットを記録したシルヴェスター・スタローン脚本兼主演の同作は、満島真之介が劇中でも語る通り“腕相撲だけで映画一本作っちゃった”映画なのである。まさに、当時のハリウッド随一の気概溢れる名プロデューサー、メナハム・ゴーランの才気が滲み出ている傑作なだけに、一見の価値ありだ。


■久保田和馬
映画ライター。1989年生まれ。現在、監督業準備中。好きな映画監督は、アラン・レネ、アンドレ・カイヤット、ジャン=ガブリエル・アルビコッコ、ルイス・ブニュエル、ロベール・ブレッソンなど。