F1シーズンを転戦していると普段見かけない人との出会いがある。そんな人に、「あなたは何しに、レースに来たのか?」を尋ねてみる特別企画。今回は、ルカ・コロヤーニ。フェラーリやマルシャの広報として活躍していた経歴を持つ人物だ。
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ヨーロッパラウンドの初戦となるスペインGPのパドックで、多くのメディアに囲まれている人がいた。よく見ると、かつてフェラーリで広報を務めていたルカ・コロヤーニである。
1992年にフェラーリに入社し、2001年からはフェラーリの広報部長として、跳ね馬の広報活動を仕切っていたコロヤーニ。終盤はフェルナンド・アロンソと意見が合わず、2012年限りでマラネロを去った。
2014年にマルシャの広報として現場に復帰した後、フォーミュラEの広報活動に携わっていたコロヤーニがどうしてスペインGPのパドックにいるのか?
「じつはFOMの仕事で来たんだ」
驚くのは、その仕事に就いた日だ。
「昨日、FOMから電話があったんだ」
そういえば、コロヤーニがフェラーリの広報部長を務めていた時代のフェラーリのテクニカルディレクターはロス・ブラウンで、ブラウンは現在FOMのモータースポーツ・マネージング・ディレクターを務めている。もしかして、今回の電話はブラウンからのものだったのか?
「いやいや、ロスからじゃない。今回の件はロスは関係ないよ。でも、ロスとはいまでも良い関係を築いているし、今後一緒に仕事していくうえで、これまでの経験はきっと役に立つはずさ」
2001年からF1の仕事を始めて、今年で17年。大きく変化したF1に再び戻って来たコロヤーニ。
「確かにいろいろと変わったね。例えば、私がいたころには少年のようだったキミ(・ライコネン)が、いまでは父親なんだからね」とコロヤーニが笑っていると、偶然そこにライコネンがやってきて、こう言った!!
「ルカ、あなたは何しに、ここに?」
所属する組織は変わっても、かつて育んだ友情は変わらず生き続けている。それはコロヤーニとライコネンだけでなく、F1で生き続けている人たちが例外なく持っている財産でもある。