今回の舞台は岡山国際サーキットとは好対照な高速コースながら、セクター3には高速コーナーが、そしてセクター3には低速コーナーがそれぞれ連続するため、近年のJAF-GTは旋回性能の向上によって、ストレートパフォーマンスに勝るFIA-GT3に対し、トータルのラップタイムでは引けを取らなくなってきている。それは「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」にとっても例外ではなく、好結果の期待がかかる。また、500kmレースということもあり、ドライバー交代を伴う2回のピットストップが義務づけられているので、普段のレース以上に戦略が重視される。
最初に「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」に乗り込んだのは嵯峨選手だった。開始からまもなくは予選想定のセットアップを行い、1分38秒台を連発した後、このセッションの最速タイムとなる1分38秒508をマークする。続いて決勝想定のセットアップに切り替えられてからは、ロングもかけて嵯峨選手はコンスタントにタイムを刻んでいた。
公式練習に続いて行われた公式練習も天候に恵まれて、まさに絶好のアタック日和に。大観衆の見守る中での走行は、自ずとテンションが上がるもの。今回もQ1は嵯峨選手が担当する。気温は18度、路面温度は30度と、5月上旬にしては高めではあったものの、嵯峨選手はアウトラップにもう2周をウォームアップに充て、「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」のコンディションを整えていく。
ゴールデンウィーク真っ最中というだけでなく、連日天候に恵まれて行楽日和となっていたため、決勝当日の富士スピードウェイは超満員。2日間合わせ、92,100人もの大観衆が詰め寄せ、改めてスーパーGTの高い人気を確認させることとなった。午前中には一切走行がなく、スタート進行の開始と同時にウォームアップが行われる。ここでは決勝レースのスタートを担当する嵯峨選手が最初に「#31TOYOTA PRIUS apr GT」のステアリングを握ることに。20分間を最大限に活用、嵯峨選手はその間に1分39秒195をマークする。終盤には久保選手も乗り込んで最終チェックを完了。
青空が広がる最高のコンディションの中、500kmレースがいよいよスタート。嵯峨選手はオープニングラップでひとつ順位を落とすも、3周目には再び20番手に。しばらくはポジションキープながら、11周目には先行車両2台の後退と、1台をパスしたこともあって17番手に浮上する。その後、しばし「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」と連なって周回を重ねていた。
そして23周目には最初のドライバー交代を行うことに。「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」に久保選手が乗り込み、タイヤは無交換でコースに送り出されることとなった。バトルモードにこそ入らなかったものの、先行する車両に遅れを取ることなく続いていった結果、全車が最初のピットを済ませると、久保選手は6番手に浮上していた。そして60周目に嵯峨選手にバトンタッチ。その際に、スタート時とはスペックの異なるタイヤを投入して、最小限の目標である入賞への期待が込められたのだが……。
再び全車がピットを終えた時の「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」は11番手、その前の66周目には1台をかわしており、溜飲を下げていたにもかかわらず。せめてもう1台と、必死に前を行く車両を追いかけていた嵯峨選手ではあったが、ゴール間際にはペースを保つことさえ許されず、94周目には1台にかわされていた。結局、最終的な順位はトップから1周遅れでの12位という、無念の展開となった。