富士スピードウェイでスーパーGTシリーズの第2戦、「FUJI GT 500km RACE」が5月3~4日に開催された。全8戦での開催が予定されるシリーズに、今年もaprは2台のトヨタプリウスZVW51を走らせ、「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」を昨年に引き続き、永井宏明選手と佐々木孝太選手に託すこととなった。
岡山国際サーキットで行われた開幕戦は、残念ながらノーポイントに終わったが、気を取り直して、今回が「真の開幕戦」となることを大いに望み、今回の舞台である富士スピードウェイに挑む。高速コースとして知られる一方で、セクター2には高速コーナーが、そしてセクター3には低速コーナーが連続する。「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」を始めとするJAF-GTはコーナリングスピードの高さが自慢であり、その進化が著しいことから、今ではセクター2以降で稼ぐことによって、ストレートパフォーマンスに勝るFIA-GT3と、トータルのラップタイムでは引けを取らなくなってきた。その意味において、今は富士も十分狙えるコース。しっかりポイントを稼いで、今後に結びつけることが大いに期待される。
公式練習5月3日(水・祝)9:00~10:35
今回はゴールデンウィークの開催とあって、水曜日から公式スケジュールがスタート。爽やかなコンディションの中、最初の走行となる公式練習が9時から開始された。まず「#30 TOYOTA PRIUS aprGT」をドライブしたのは永井選手。まずアウト~インを行なって最初のチェックを行ってから、本格的に周回が重ねられることとなった。しかし、まもなく明らかになったのは、プリウスが自慢とするコーナリングには昨年とまったく衰えはないのだが、ストレートスピードが今年から実施された性能調整の影響で、まったく伸びなくなっていたことだ。
そこで永井選手が1分39秒505を記録した後、本来ならばロングをかける予定を大幅に改め、大掛かりなセットチェンジを行うことに。ただ、やるからには中途半端は避けようとの作業を要したことで、予想以上の時間がかかってしまう。再び「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」がコースインできたのは、公式練習終了後のサーキットサファリ。ここから佐々木選手がようやく乗り込み、コースには数台のバスが走る中、チェックを行っていく。ラスト5分間はバスが離れたこともあり、本格的な走行を許され、佐々木選手は1分39秒240をマークした。
公式予選 Q1 5月3日(水・祝)14:40~15:15
マイレージを十分に稼げていないこともあり、一抹の不安を残しつつ臨んだ予選のQ1は、今季初めて永井選手が担当。「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」とともに早々とコースインし、コンディションを整えていく。この時期としては高めの気温、18度。路面温度も30度だったが、練習走行を多く走れていなかった分、永井選手は長めにウォームアップを行い、計測4周目からアタックを開始する。いきなり1分38秒883をマークし、次の周には1分37秒896にまで短縮を果たす。本来ならば、もう1周アタックしたいところだが、決勝への温存の意味も含め、チェッカーを待たずに永井選手はピットに戻ってくる。結果的にはQ1突破のボーダーに0.9秒及ばず、Q2に控えていた佐々木選手にシートを託すことは許されなかった。
その結果、「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」は12列目、24番グリッドから決勝レースに挑むこととなった。しかし、今回のレースは500kmもの長丁場。ピットストップもドライバー交代を伴い、2回義務づけられていることもあり、戦術の駆使によって徐々に追い上げてくることが期待された。
決勝レース(110周)5月4日(木・祝)14:10~ 今回も決勝日の走り始めは午後から、スタート進行の開始と同時に行われる20分間のウォームアップ走行からとなった。スタート担当の佐々木選手はコースオープンと同時に飛び出し、最初は優しく、しかし不安要素のないことが確認できてからは、一気に「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」に鞭をくれる。そして、1分40秒234を記してスピードを確認した後、ピットに戻ってドライバー交代の練習も兼ねて永井選手へとチェンジ。永井選手も1分40秒347を出して、最終確認を完了する。
静岡県警の白バイ、パトカーの先導によるパレードランを1周行なった後、フォーメイションラップがスタート。ブレーキとタイヤにしっかり熱を入れ、佐々木選手は万全を期す。そしてレッドシグナルがグリーンシグナルに変わったところで右足にぎゅっと力を込め、「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」が加速していく。佐々木選手はオープニングラップのうちにひとつポジションを上げ、3周目にはもう1台。6周目には21番手に浮上する。さらに10周目には先行車両の相次ぐ後退もあって、19番手へ。しばらく連なって走っていた「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」をも、20周目にかわして18番手に浮上するそして40分を経過してまもなく、24周目に永井選手に交代。1周早くピットに入り、タイヤ無交換だった「#31 TOYOTA PRIUS apr GT」の背後で戻れたことから、ロスを最小限にできたのは明らかで7番手にジャンプアップ。このポジションをキープできれば入賞も確実と思ったさなか、わずか13周後の37周目にピットイン。予定外であるのは間違いなく、永井選手が乗ったままメカニックたちが修復を試みる。原因はステアリング系のトラブル。いったんピットを離れるも、その2周後に再び戻らざるを得ず、そこからは無情にも時間が経過していく。
これで「#30 TOYOTA PRIUS apr GT」に勝負権は完全に失われてしまうも、完全に修復なってからは永井選手も佐々木選手も少しも諦めることなく、チェッカー目指して走り続けた。残された結果はトップから20周遅れの26位だったが、規定周回を満たしていたこともあって完走扱いに。今回稼ぐことのできたデータが、今後に活かされることを大いに期待したい。