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Shout it Outは“夢の先”へ 勢い溢れるパフォーマンスで挑んだO-WEST公演

2017年05月12日 15:03  リアルサウンド

リアルサウンド

Shout it Out(写真=木場 ヨシヒト)

 山内彰馬(Vo/Gt)と細川千弘(Dr)によるロックバンド・Shout it Outが、5月7日に開催された『Shout it Out 「青年の主張」リリースツアー』TSUTAYA O-WEST公演で熱いパフォーマンスを見せた。


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 オープニングアクトとして彼らの後輩で宮城県出身のバンド・SILVERTREEがフロアを盛り上げた後、Shout it Outが登場。山内が「よろしく」と客席に声をかけると、アルバム表題曲「青年の主張」からスタートした。20歳を迎え、少年と大人の狭間にいる青年である彼らが歌う<今が良ければいい/明日のことなんてわからない>という歌詞は、切実に響く。そしてライブの幕開けを飾る「DAYS」、夢に向かって進んでいく決意を描いた「道を行け」を歌い、会場の熱量を上げていった。


 MCを挟み、<校庭>や<白いシャツ>という言葉に彼らの高校時代を思わせる「17歳」へ。続いて駆け抜けるような「雨哀」、ロマンティックな雰囲気の「夜間飛行」、<生きてるってことは輝くこと>と“生”について歌う「トワイライト」などを次々に披露。ステージを降りるとスマートで爽やかな雰囲気のある2人だが、フラワーカンパニーズ好きと公言しているだけあり(この日もライブ終了後、細川は「生きててよかったそんな夜でした」と「深夜高速」の歌詞を引用したツイートをしている(https://twitter.com/sngk_hskw/status/861194527154946048)、ステージ上での熱いライブパフォーマンスからは泥臭く音楽と向き合う一途さを感じた。


 さらに渋谷の街を舞台にした切ないラブソング「エンドロール」でしっとりとした空気に。バラードを通じ、山内の安定した歌唱力を見せつけた。山内はメジャーデビューから1年経ったことを振り返り、少しずつ大人に近づいていると感じたことを明かしながらも「大人になれない」を歌唱。<大人にはなれないし/子供のままじゃいられないし/何か言われるとムカつくし>と大人になり切れない自分への焦り、周囲への苛立ちをストレートに表現した言葉が胸に刺さった。


 その後飛び跳ねるように「影と光」、クラップとともに「灯火」を披露し、本編最後の「青春のすべて」では山内が「先を考える暇があるなら、今ここで燃やし尽くして、まっさらな明日を迎えよう!」と客席に叫んだ。感情全てを叩きつけるように歌う山内の声と、時に立ち上がるほど熱のこもった細川のドラムは、自らも周囲も“燃やし尽くして”しまいそうな勢いに満ちていた。


 そしてアンコールでは「道を行け」のライブMVを撮影するというサプライズもあり、客席は大いに盛り上がる。本編以上の歓声に山内は少し拗ねたような顔を見せておどけながらも、再び「道を行け」を演奏しフロアを盛り上げ、やりきった表情でステージを後にした。


 ライブ中、「“バンドをやること”が夢だった」と語った山内。この日のMCで細川も、開演前に外で待つファンたちを見た山内が「売れてるバンドみたいやな」と口にしたことを明かすなど、音楽やバンドが好きという真っ直ぐな気持ちでここまで来たことが伝わってきた。そんな山内をサウンド面でも精神面でもしっかり支える細川がいるからこそ、メンバーの脱退という大きな出来事があった後もShout it Outというバンドをブレずに続けられているのだろう。“バンドをやること”はともかく、“バンドをやり続けること”は難しい。しかしO-WESTを埋め尽くし、観客を熱狂させた彼らならば夢の先へ踏み出していけるはずだ。本公演を全力で走り抜けたShout it Outの姿は、そんな希望に満ちていた。(村上夏菜)