5月6~7日、STCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権がスウェーデン・クヌットストープで開幕した。週末に行われた3レースの内、レース1とレース2では今季からセアト陣営に加入したロバート・ダールグレンが2連勝をマーク。最終レースは、フォルクスワーゲンのフレデリック・エクブロムが制し、ベテラン勢が地力を見せつける結果となった。
STCCは長らくワンメイク鋼管パイプフレームにV6ミッドシップのTTA規定シャシーを用いる独自路線を歩み、2012年以降はフランスのコンストラクターであるソリューションF製のシャシーに、ボルボ、セアト、サーブ、BMW、キア、ラーダ、ホンダ、ニッサンなど、独自のボディを架装して争われてきた。そんなSTCCが、2017年シーズンより世界中を席巻する人気ツーリングカー規定“TCR規定”を採択。シリーズはTCRマシンによって競われることとなった。
選手権の盟主として君臨してきたボルボ、ポールスター・シアン・レーシングは、TCR規定車両を持たないことから本格的な活動を休止。ワークスドライバーたちは散り散りに、他陣営に移籍するか、別カテゴリーへ活路を見出すか、それぞれの模索が続いていた。
そんななか、一度はレーシングドライバー引退を決断したダールグレンは、元チームメイトのダニエル・ハグロフとともにセアト・ディーラーチームのPWRレーシングに加入。
一方、同じくシアン・レーシング所属だったエクブロムは、フォルクスワーゲン・スウェーデンの公式サポートを受けるクリストファーソン・モータースポーツ(KMS)に助っ人的なポジションで参加し、開幕戦のグリッドについた。
その最初のレースでフロントロウを独占したのは、エクブロムとフレデリック・ブロムステッドのKMS、フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRの2台。
後方3番手にダールグレンのセアト・レオンTCRがつけると、スタートではレオンがロケットスタートを決め、反応の鈍かった2台のゴルフを置き去りに1コーナーへ。
2番手ブロムステッド、3番手エクブロムと続いたが、7周目の最終コーナーでチームメイトを攻略したエクブロムは首位ダールグレンを追走。
レース後半に進むにつれ、ゴルフGTI TCRの個性を掴み、驚異的なペースで追い上げたエクブロムだったが、最終的に0.4秒差まで詰めたところでチェッカー。TCR規定を採用した新生STCC最初の勝者は、ダールグレンとなった。
ふたりの背後では、ブロムステッド、ハグロフに加えアウディRS3 LMSのトビアス・ブリンクが激しいバトルを展開。数周にわたってブロムステッドのゴルフに仕掛けていたハグロフが、最終ラップの最終コーナーで強引にインをこじ開けると、両者は接触しながらハグロフが前へ。
ブロムステッドのマシンはダメージを負ったものの、なんとかゴールラインを通過。ハグロフが意地の表彰台を確保し、元ポールスター・シアン・レーシングのワークスドライバーがポディウムを独占する形となった。
続く午後に行われたレース2は、セアトのアンドレアス・アンダーソンとアウディRS3 LMSのルベン・クレスナーがストレートブリッジの下で宙を舞う激しいクラッシュでレースが終了する波乱のなか、Q2でポールを獲得していたダールグレンが危なげなく2連勝。エクブロム、ブリンクのアウディが表彰台を獲得した。
夕方16時スタートのレース3では、ふたたびセーフティカー導入のクラッシュが発生するも、終始首位争いを展開したエクブロムとダールグレンが最終ラップまでバトルを演じ、今度はエクブロムが首位を守りきってフィニッシュ。以下、ダールグレン、ハグロフと続いた。
これで選手権首位はダールグレンとエクブロムが63ポイントの同率で並ぶこととなり、3位のハグロフは39ポイント。次戦はシリーズ唯一の他国開催となるフィンランド戦となり、5月20~21日にアラスタロのトラックで開催される。