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水瀬きいの突撃インタビュー! vol.1 ベルトラン・バゲット選手

2017年05月11日 22:12  AUTOSPORT web

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Epson Modulo NSX-GTのベルトラン・バゲット選手とオートスポーツwebナビゲーターの水瀬きい
2017年からオートスポーツwebナビゲーターに就任した水瀬きいさんに、日本で活躍するレーシングドライバーに突撃インタビューをしてもらうことになりました。記念すべき第1回目は、スーパーGT500クラスでEpson Modulo NSX-GTをドライブする、ベルトラン・バゲット選手です!

 水瀬きいさんは、実はフランスに留学していたこともありフランス語が堪能。今回インタビューしたバゲット選手はベルギー出身で、母国語はまさにフランス語。今回バゲット選手には、きいさんから直接質問を投げかけてもらいました。

 冒頭、編集部から「質問はフランス語で」と言うと、バゲット選手は「フレンチ! パーフェクト!」とめちゃ嬉しそう。それではきいさんとバゲット選手のやり取りをどうぞ!

水瀬きい(以下Kii):まずは、第1戦を振り返ってみての感想を教えてください。
ベルトラン・バゲット(以下BB):開幕戦の岡山は難しいレースだったね。クルマにもトラブルがあって、ピットに入れるしかなかった。もちろん良かった部分もあったし、これまでダンロップタイヤは厳しいところがあった分、成長を感じることもできたんだ。僕たちにとって難しいコースだったけど、ポジティブにはとらえているよ。

Kii:今シーズンドライブする、ホンダNSX-GTの手ごたえを教えてください。去年と比較してどんなクルマですか?
BB:去年からは大きな進歩を遂げているよ。NSX CONCEPT-GTとNSX-GTは見た目は似た印象だけど、今年の方がすごくドライビングしやすくなっているんだ。コーナリングも、昨年まではすごく跳ねていた状況も良くなっている。ドライバビリティも向上していて、コーナーの立ち上がりも速くなった。この3年間に比べて、すごく良くなっているね。

Kii:今年チームメイトになった、松浦孝亮選手はバゲット選手から見てどんな人ですか?
BB:すごくいい人だよ! 今までダイスケ(中嶋大祐)と3年間チームメイトで、今年はコウスケになったわけだけど、コウスケはダイスケとは正反対の人物だ(笑)。ダイスケはすごく真面目で、勤勉な印象だった。だけどコウスケは笑わせることに一生懸命になってくれる。動きも発言もおもしろいし、レース前でも緊張感をもっているというより、リラックスしている印象だよ。3年間ダイスケと仕事するのは大好きだったけど、真逆のコウスケとの仕事も楽しいよ!

Kii:松浦選手とバゲット選手は、以前インディカーに参戦していたことがありますが、参戦していた時期は重なっていましたっけ?
BB:いや。重なってはいないんだ。コウスケはインディカーで4年間フル参戦していた(2004~07年)けど、僕が参戦したのはその後(2010~11年)だ。でもインディの話はよくするよ。ふたりで「じゃあまたインディ500出るか!」みたいにね(笑)。

Kii:2014年に来日してもう4年目ですが、日本語は少し覚えましたか?
BB:ニホンゴムズカシイ。スゴクムズカシイ(笑)。最初は日本のことも、日本語も全然理解できなかったんだ。僕はフランス語の他に英語もイタリア語もしゃべれるし、ドイツ語も少ししゃべれる。でも、日本語は何にも似ていないから、まったく分からなかった。4年間東京に住んでいるけど、アンドレア(カルダレッリ)やジェームス(ロシター)、アンドレ(ロッテラー)と一緒にいて英語をしゃべっちゃうと、全然覚えないね(笑)。日本語を勉強するのはサーキットだけなんだ。東京でも勉強しなきゃね。ちょっとずつは分かってきたよ。でもヤッパリムズカシイ(笑)。

Kii:バゲット選手は日本に住んでいますが、暮らしぶりはいかがですか?
BB:日本での生活自体は、清潔だしキレイだし、皆さん常識的だしすごく礼儀正しいから、気に入ってるんだ。ゴハンも美味しいよね。日本人の精神性がすごく僕の好みと合っているんだ。日本での生活は大好きだよ。

Kii:日本食は何が好き? ダメな食べ物はある?
BB:焼き鳥、お寿司、それから焼肉……は完全に日本のものではないかな? あとお刺身も大好きだよ。嫌いなものはないよ! 全部好き。ナカジマさん(中嶋悟)にそれを言ったら、彼も食べるのは大好きだから、一緒にいろんなところに行ってくれるよ。ナカジマさんはいろんな食べ物を僕に挑戦させてくるんだけど、僕はなんでも食べちゃうんだ!

Kii:バゲット選手は日本に来てからずっとNAKAJIMA RACINGからスーパーGTに参戦していますが、あなたにとってNAKAJIMA RACINGはどんなチームですか?
BB:NAKAJIMA RACINGの、ナカジマさんのおかげで日本に来られたし、4年目を迎えるけど、ずっと関係はいいままだよ。最高のチームだと思う。最初はダイスケと、ナカジマさんがずっと日本のことを教えてくれて、今はひとりでも全然大丈夫になったよ! ここは日本での僕の家族みたいな存在なんだ。まだベルギーに帰ろうとは思わないくらい気に入っているよ。

Kii:ちょっと意地悪な質問ですが、あなたは2009年にフォーミュラ・ルノー3.5のチャンピオンを獲り、13年にはWECのLMP2でチャンピオンを獲りました。でも日本ではまだ勝てていません。ヨーロッパで走ることに魅力を感じたりはしませんか?
BB:日本のスーパーGT、それにスーパーフォーミュラは、世界で最も魅力的だと思っているんだ。スーパーGTがハコではいちばん速いし、ホンダやダンロップなど、メーカーのために全開でプッシュしなければならないんだ。こういう高いレベルで戦わなければならないのは、世界でもスーパーGTだけだよ。ドライバーのレベルも高いし、いちばん魅力的だからね。それが目的でスーパーGTに出ているんだ。
今年はスーパーフォーミュラのシートは獲得できなかったけど、2年間ふたつのカテゴリーに出ることができたのは、日本だけしかできないことだよ。フランスではそんなことはできないからね。ここにいる限りはヨーロッパのレースは出られないね。

Kii:では最後に、ファンの皆さんにひと言お願いします!
BB:いつも応援してくれてありがとうございます! 日本のファンがいちばん最高だよ。モータースポーツのこともドライバーのことも理解してくれているし、この親切な気持ちのまま支えてくれればと思っているよ。できるだけ早く、NAKAJIMA RACINGをポディウムに連れていきたいと思っているので、応援していてね!

Kii:ありがとうございました!

<編集部から>
今回のインタビューは、スーパーGT第2戦富士の予選日前日、NAKAJIMA RACINGのテントで行いました。あらかじめ質問は用意していきましたが、話し出したらガチでフランス語オンリーの取材になりました。聞いていたとはいえ、きい様おそるべし……。
そして、バゲット選手もしゃべるしゃべる。NAKAJIMA RACINGのマネージャーさんいわく「バゲットはあんまりしゃべらないんですよ」と聞いていたものの、やはり母国語での会話でかなりリラックスできていた様子です。この調子で、このコーナーでは次回も外国人ドライバーの“ホンネ”を聞き出したいと思っているので、乞うご期待!

ベルトラン・バゲット
1986年2月23日ベルギー生まれ、レーシングカートからフォーミュラ・ルノーでステップアップし、2009年にはフォーミュラ・ルノー3.5シリーズのチャンピオンを獲得した。2010年からはインディカー・シリーズに挑戦。12年はふたたびヨーロッパに戻り、スポーツカーレースへ。2013年にはLMP2チャンピオンを獲得した。14年からは日本に居を移しスーパーGTに挑戦。2015年からはスーパーフォーミュラにも参戦した。