フォード・ファルコンFG-X勢の好調が続く豪州の人気ツーリングカー選手権、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカー(VASC)。その第4戦が5月5~7日にパース近郊のバルバガロ・レースウェイで開催され、ラウンド7、ラウンド8ともに、2017年からDJRチーム・ペンスキーに加入したスコット・マクローリンが制覇。若手ホープが移籍後初勝利を2連勝で飾った。
ニュージーランド出身で24歳のマクローリンは、昨年まで在籍したギャリー・ロジャース・モータースポーツ(GRM)を離れ、フォード陣営の名門ペンスキーに移籍。2016年限りでワークス撤退を決めたボルボS60スーパーカーから、フォード・ファルコンへとマシンを乗り換えた。
ペンスキーの運営するシェルVパワー・レーシングは、チームメイトのファビアン・クルサードがすでに今季2勝を挙げ選手権首位に立つなど好調を維持。
マクローリンも2度のポールポジション獲得など速さをみせていたものの、ここまで勝利を手にできないでいた。
そんななか、土曜のレース1はクルサードがポール、マクローリンが2番手とペンスキー勢がフロントロウからのスタート。
50周で争われるレース序盤はポジションをキープした静かな立ち上がりとなり、3番手、4番手にはライバルとなるホールデン・ワークス、レッドブル・レーシング・オーストラリアの王者シェーン-ヴァン・ギズバーゲン(SVG)とジェイミー・ウィンカップが続いた。
路面が荒いことから、今季からコンパウンドをグリップ重視へと変更したダンロップのタイヤウェアが厳しく、デグラデーションをいかにマネジメントするかが焦点となったレースは、22周目に先頭のクルサードがピットへ。
これに反応し、スパートをかけたマクローリンが翌周にピットへ飛び込むと、見事にアンダーカットに成功。1コーナーでクルサードを抑えると、最終的に1.3秒のリードを守りきってトップチェッカー。待望の今季初勝利をマークした。
現地サーキットを訪れ、久々に陣頭指揮を執っていた代表のロジャー・ペンスキーも「私にとっても待望の瞬間が訪れたよ」と、喜びを語った。
「スコットにとっても待ち望んだ瞬間であり、チーム全員の膨大な努力が実った。私も現場で勝利を見届けることができてうれしいよ。我々がアメリカで示しているような“キング・オブ・チーム”としての強さを見せることができた」
続く3位表彰台には、ペンスキーと同じくトリプルエイト・レースエンジニアリング同士の同僚バトルをピット作業で制したウィンカップのホールデン・コモドアVFが入り、SVGが4位。
5位、6位にはプロドライブ・レーシングのマーク・ウィンターボトム、チャズ・モスタートが入り、ここでもフォード勢の好調さを示す結果となった。
■レース2はフォードの表彰台独占ならず
日曜に行われたレース2は、ポールからのスタートとなったマクローリンがクリーンにホールショットを決めるが、その背後からはフロントロウのモスタート、3番手のウィンターボトムのファルコン同士がマクローリンのリヤバンパーを突き合うバトルを展開。
路温が上がり、コーナーアウト側だけでなくレコードライン上の至るところでタイヤマーブルが散乱する難しいコンディションのなか、サイド・バイ・サイドの勝負を繰り広げたファルコン勢は、抜群のマネジメントをみせたマクローリンが2番手モスタートをジリジリと突き放し、最終的に5秒のマージンを築いてチェッカー。
2位にモスタート、3位にはピットで逆転をみせたウインカップのRBRAホールデンが入り、フォードの表彰台独占を阻止した。
また、6番手を走っていた選手権首位のクルサードは、レース終盤の最終コーナーでSVGにインを刺されて7位に後退。SVGが王者の意地を見せ、19ポイント差の選手権2位にとどまった。
次戦、第5戦となるウイントン・スーパースプリントは、5月19~21日に開催される。