ドゥカティ・チームのホルヘ・ロレンソは、MotoGP第4戦スペインGPで移籍後初の表彰台を獲得したことにより、ドゥカティのマシンに順応できないとしていた評論家たちの批判を控えるだろうと考えている。
ロレンソは9年間所属したヤマハから2017年にドゥカティに移籍し、開幕3戦終了時点でアメリカGPでの9位が最高位という成績だった。
だがスペインGPで3位に入ったロレンソは、チームがへレス・サーキットで表彰台に上がれたのは2011年以来、久々のことだとしている。
ロレンソのライディングフォームは、これまで多くの人に論評されてきた。元GPライダーで現在はMotoGPのセーフティオフィサーを務めるロリス・カピロッシもそのひとりで、彼のフォームには「ワイルドさ」が足りていないと評していた。
進化したのはロレンソ自身かドゥカティかと聞かれ、ロレンソは次のように答えた。
「多くの要素が進化しているが、主な要素は僕が今のバイクを理解するために必要なだけの距離を走ったことだ。(なぜなら)このバイクは特殊だからね」
「僕が2008年にMotoGPに昇格したとき、突然速く走れたんだ。それはバイクが僕のライディング(スタイル)に合わせて作られていたからだ」
「だけど、それ以前のクラスでは多くのことを理解するのに時間を必要としたし、今のマシンについてもほぼ同じような状況だ」
「僕のライディングスタイルやメンタルは否定されるべきじゃないのに、中にはそういう人たちもいた」
「彼らは結論を言うのが早すぎた。それで結局は自分の言葉を飲み込まなくてはいけなくなる。なぜなら、選手権に出るライダーは全員否定できないものなんだ」
「世界選手権に出てくるライダーは、全員とても実力があって、上位を走る力も備えている。もちろん、その中には特に強くて多くのレースやタイトルを勝つ者もいる」
8番グリッドから表彰台まで順位を上げられたのは優勝できたような気分だったと語るロレンソ。予選の調子は悪かったものの、その前のプラクティスで出したペースで自信を持てた結果だと考えている。
ロレンソはこれまでMotoGPクラスでへレス・サーキットを10回走り、そのうち表彰台に上がったのは今回で8度目となる。彼にとっては特に力を発揮できるコースだと感じているようだ。
今回のレースで、ロレンソが表彰台を意識したのは、モビスター・ヤマハのバレンティーノ・ロッシとマーベリック・ビニャーレスを抜いた後、3番手にいたモンスター・ヤマハ・テック3のヨハン・ザルコを捉えたときだという。
「あのときはライディングに集中していたが、どのポジションでいくのが現実的かわからなかった」とロレンソ。
「ザルコに離されるかもしれないし、追い付けるかもしれない」
「だが、追い付き始めたときに、表彰台に届くかもしれないと思ったんだ」
「彼を追い越したときには僕も疲れてきていて、逃げ切れるとは思えなかった。だけど、その後(ピットボードで)コンマ3秒、コンマ5秒と差が開いてきたのを見て、がんばってさらにマシンをプッシュしたら、最終的にはうまくいった」
「さらに1秒、1.3秒と差は広がったのを見た。そこまで見て、『よし、プッシュし続けろ、集中しろ、ドゥカティのマシンで結果を出せる日が来たんだ』と自分に言い聞かせた」