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結婚したいサブカル女子が「お寺婚活」に行ったらバンドマンも役者志望もいない異世界だった話

2017年05月11日 12:12  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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突然ですが、結婚したいですか? 筆者は超したい。でも好きになる人は自称俳優志望とかカメラマン見習いとかバツイチとか、そうじゃなくても「結婚はまだいいかなー」みたいな人ばかりでした。

筆者は「サブカル女子」という括りで記事を書くこともありますが、もう25歳。「女子」と自称するのも厳しいかもしれません。結婚したい。でも彼氏すらいないし、好きになる人は大体結婚願望も生活力もない。ならば無理やりにでも真面目で結婚願望のある男性がいるところに飛び込むしかない。

ということで臨済宗の寺院が運営する婚活パーティー「吉縁会」に参加しました。開催場所はお寺で、スタッフがお坊さんなど全員お寺関係の人ばかり。それだけで「真面目な人が集まりそう」と思えます。ここで出会ったイイ人がバンドマン(週6でバイト)なら、それは運命だと腹をくくります。(文:市ヶ谷市子)

住職「結婚相手への条件より、その人そのものを見て」

「費用をかけず安心してご縁を広げる」がコンセプトの吉縁会。今回の参加費も3000円と婚活初心者でも気軽に参加できるお値段です。2010年から、全国各地のお寺で開催し報告があるだけで100組以上のカップル・夫婦が誕生しているという驚異の成立率です。

筆者が参加したのは5月6日、東京都八王子市の「梅洞寺」で行われた回。今回は男性2.7倍、女性4倍と非常に多くの応募があったそうです。

この回に集まったのは25~49歳の男女各45人。年齢層としては30代の方が多いようでした。最初に「良縁祈願」として般若心境を読み、仏教体験として住職の富岡孝宗(こうしゅう)さんからご縁についてのお話を聞きます。

「『個性』というと奇抜なことをする人と思われがちですが、本当の個性は元から備わっているもの。同じことをしても人と違ってしまうことが本当の個性なんですね。婚活と言えば『結婚の条件』をもとに相手を見てしまうけど『この人の雰囲気がいいな、話しやすいな』と思う人に出会ってほしい。この会がご縁を結ぶきっかけになればと思います」

庵野監督についてマシンガントークをする人はいない!!

お寺の婚活と言っても、メインは参加者同士のお喋り「談話時間」です。まず1対1で、15人と5分ずつ会話します。事前に用意したプロフィールカードをもとに話すのですが、これはすごく助かりました。「好きな映画:シン・ゴジラ」と書いている男性がとても多く、筆者も好きなのでその話をするのですが、残念ながら

男性「あれ面白かったですよねー」
筆者「さとみの『ZARAはどこ?』と無人在来線爆弾のシーンが好きで観るたびにテンション上がるんですよね!」
男性「あはは~ あっフェスも行くんですね」

と限られた時間しかないため、中々深い話にはなりません。庵野秀明監督に関するマシンガントークを聞くこともなし。普段、癖の強いサブカル男子と接することが多い筆者はカルチャーショックを受けました。

事前にプロフィールカードを用意するのですが、人によって書き込み具合は様々。ただ、やっぱり自分の趣味について詳しく書いている人との時間は楽しかったです。文化系男子がスピッツ好きでボソッと「好きなんですけど、この年代で好きな人ってあんまりいないんですよね」と答える姿とか、明るいお兄さんがはつらつと「相撲好きで五月場所楽しみなんですよー!」と答える姿とか、好きな話題になるとキラキラしていたのが印象的でした。

続いて30分の自由談話時間。90人もの男女が本堂を回遊魚のように歩き回って立ち話をするので、ちょっと足腰が痛くなります。お坊さんたちは「時間は短いです、多くの人と話してください!」と言い、入れ代わり立ち代わりで10人くらいの方とお話しをしました。

この約2時間で男性25人とお話をしましたが、正直恋に落ちることはありませんでした。ただ、恋愛や結婚を度外視して「なんとなく気が合うかも」「この人のしゃべり方好きだな」という、その人がどんな人なのかを感じられた気がします。

知人から「婚活パーティーには変な人が多い」ということを聞いていましたがそんなことはなく、真面目で感じのいい方が多かったです。バンドマン(週6バイト)もいません。こうした場に慣れていないのか、お坊さんに「あの女性、いま一人ですよ」「声をかけないと後悔しますよ」と背中を押されている人も。

「数打ちゃ当たる」ではなく「袖振り合うも他生の縁」

そして男女別室に移動します。そこには名前が書かれた顔写真付きの封筒が並んでおり、気になる相手の封筒に自分の連絡先を入れていきます。普通の婚活パーティーでは相思相愛の状態でなければお互いの連絡先は知り得ないことが多いようですが、こちらは何人にでも連絡先を伝えられます。このとき和尚さんたちは

「ちょっとでもいいなと思ったら入れてください。ご縁は多い方がいいです。次にお会いしたらまた印象が変わるかもしれません。お話していない人に入れても大丈夫。ご縁があるかもしれません」

と声を張り上げていました。「数打ちゃ当たるかよ」と思わなくもないですが、たしかにご縁は多い方がいい。袖振り合うも他生の縁です。

最後に本堂に最集合して、合掌・礼拝。連絡先の封筒を受け取って解散。お寺から出ると程よく冷たい風が吹き、なんだか清々しい気分で帰路に着きました。

帰宅後、封筒を開けると25人の連絡先が。まさかの百発百中!? しかしカードと連絡先を見比べると、お話していない方の連絡先も。趣味などの話題で盛り上がった人は連絡先を入れてくれていたようです。プロフィールカードはしっかり書き込んだ方が得策ですね。

このカードには年収や家族構成などは書かれていません。なので「婚活・お見合いパーティー」というより、「縁を結ぶきっかけの場」という感じです。

「あまりガツガツしたパーティーは得意じゃないけど、人と出会うきっかけは欲しい」
「アナーキーな人ばっかりと付き合ってきたので真面目な人と出会いたい」

という方にぴったりのイベントなのではないでしょうか。

吉縁会の次回開催は6月~7月。応募には登録会で事前登録が必要です。直近の登録会は5月14日愛知県・徳源寺、大分県・長勝寺(男性のみ)、20日東京都・是照院(男性のみ)、21日静岡県・龍雲寺で行われます。

ちなみに筆者に連絡先を教えてくれた人の平均年齢は33.6歳。実は、筆者の年齢を告げると「え……若いね……」と明らかにテンションを下げられたことも、その反対もありました。となれば筆者の「個性」は「若い」……? ということでまだまだサブカル「女子」を名乗って参ります!