フォーミュラEは、2018/19年シーズンにレース中の車両乗り換えを撤廃した後も、ピットインの義務付けを検討している。
現在のフォーミュラEマシンには28kWhのバッテリーが搭載されているが、1台のマシンでレース距離は走りきることはできない。そのため、各ドライバーは決勝中、ピットインしてマシンを乗り換える必要がある。
2018/19年シーズンからは、マシンに積まれるバッテリー容量が54kWhまで引き上げられる予定で、マシン乗り換えなしにレースが行われる見込み。
フォーミュラEのスポーティング・ワーキング・グループ(SWG)は、将来のレースフォーマットに関する議論を今年初めに開始しており、今月下旬にも会合を実施。この場でレース戦略に幅をもたせるべく、決勝中のピットイン義務付けについても検討されるようだ。
シリーズに参戦するチームの代表としてSWGに参画しているMSアムリン・アンドレッティのロジャー・グリフィスは「タイヤ交換を義務付けることで、レース中のピットストップを残そうという案が浮上した」と語っている。
「しかし、この案にはまったく利益が見当たらない。現時点でレース中に交換が必要なほどタイヤが摩耗したことはない」
「(タイヤ交換を義務付ける場合)我々は無駄な装備を追加で持ち込むことになり、本当に無意味な作業をすることになる」
「我々は戦略に幅が出るような解決策を模索している。ドライブスルーや一度ピットで停止するというのも手段のひとつだが、ピットで停止している時間だけ、レースで使えるパワーを増やすという案もある」
「ピットに長く留まった分だけ、よりパワーを使えるようになるんだ。こうすればピットアウト後、さらにペースを上げることができる」
■メキシコウイナーのディ・グラッシはピットイン義務付けに賛同
現在、ドライバーズランキングで2番手につけるルーカス・ディ・グラッシも、レース中のピットイン義務付けに賛同している。
ディ・グラッシは第4戦メキシコePrixのオープニングラップでクラッシュに巻き込まれ、マシンを破損。早々にマシンを乗り換え、燃費走行を強いられたが、セーフティカー導入の幸運にも恵まれ逆転優勝を飾っている。
「ピットストップを義務付ける以外にも、ラリークロスのジョーカーラップのように、追加のコーナーを設けてもいいかもしれない」とディ・グラッシ。
「バッテリー残量の管理だけではなく、電力をどのタイミングで使うかという戦略も重要なんだ」
「レース中に2度ピットストップを義務付けてもいいかもしれない。もちろん、しっかりとした分析は必要だと思うけど、戦略面での選択の余地は残しておくべきだと思う」
また、フォーミュラEは現在の週末1日開催から2日間開催へスケジュールを変更することも検討しているようだ。
ただし、2日間開催となった場合、予選と決勝が別日に行われるのか、それともベルリンePrixやニューヨークePrixのようにダブルヘッダーとして開催されるのかは不透明だ。
フォーミュラEの関係者は2018/19年に向けて「レギュレーション面とレースフォーマット、ピットストップに関して、数多くの提案がなされている」とだけコメントしている。