もう何十年も前から問題視されている日本の少子化問題。有効な打開策もないまま出生数は減るばかり。そもそも結婚・出産は個人的なもので、国のために産みますなんて人はいないわけだが、子どもが欲しい人が希望するだけ産むことができない現状には悲しい違和感がある。
先日「日本の未婚化、少子化の原因と改善策は何だと思いますか?」というトピックが、ガールズちゃんねるに立った。トピ主は学校の授業で日本の未婚化・少子化についてグループディスカッションをしたという。
「女性の高学歴化や労働参加率の上昇、男性の所得安定率の減少など色々考えられる原因はたくさんありますし、これといった答えはない問題なのかもしれませんが皆さんの意見が聞きたいです」
と呼びかけていた。(文:篠原みつき)
子供はお金かかるから安易に生んではいけない時代になった
これに対して、3500件を超えるコメントが寄せられ関心の高さがうかがえた。多くの女性が「産めない事情」「産まない理由」を訴えたが、まず「すべてはお金ですよ」から始まり、こんな切実な声が多くの賛同を集めていた。
「子供はお金かかるから安易に生んではいけない時代になった」
「高校、大学の費用を安くしていただければもう一人産める」
5割以上が大学へ進学する昨今、高校卒で自立させることは、子どもをもうける時点で考えにくい人が多いだろう。「生きていくのにお金が掛かりすぎる。誰かを養う余裕がない」という声もあるように、そもそも自分のことで手一杯という状態の人がとても多いようだ。
「非正規雇用増えすぎ。こんな先の見えない世の中で子供産みたいと思うか?」
「長時間労働撤廃、もしくは賃金あげろ 」
子どもを産み育てる世代に安定した収入がなければ、安心して結婚も出産もできない。これは当然の不満で、政府も承知している。内閣府が2015年に発表した「少子化社会対策大綱」にも「若者の雇用の安定」が明記されているのだ。それでも、分かっちゃいるけど難しいのか…と問題の根深さを痛感する。
「育児して家事して仕事して介護して、女性が活躍する社会? 過労死しますが」
コメントのなかには、驚くことに時代を逆行する意見も見られた。
「やっぱり昔みたいに女は家庭にでいいんだと思う。負担が多すぎる。で、夫の給料を上げて家庭にお金を持ってこれるようにすればいいんだよ」
もちろん反対・反論はあったものの、これが多くの支持を集めていた。昔のように女性が生きる選択肢を狭めたほうが良いということだろうか。筆者はむしろ、結婚という形にとらわれない、シングルの子育て・権利をもっと認めて欲しいという声に賛同するのだが。
しかし、時代に逆行した声は、多くの女性が仕事と家庭の両立にプレッシャーを感じている表れでもある。
「育児して家事して仕事して介護して、女性が活躍する社会? 過労死しますが」
という声や、「共働きが当たり前な国はちゃんと旦那が家事育児を分担してる」との指摘もあったように、出生率がここ20年で上昇したフランスでは、男性の約7割が「産休」を取得するという。やはり国の制度、企業や夫の理解、協力は必要不可欠だろう。
少子化対策のためではなく、自分のために子どもを産める社会に
様々な問題が重なって、挙げればキリがない未婚化・少子化問題は、「ここで議論しても意味がない」、「そもそも対策する必要を感じない」という人もいた。確かに書き込みを見ていると、むしろ産む理由ってあるの?と突き付けられている気分になってくる。
とはいうものの子持ちの筆者は、国力の低下などという前に、実感として子どもはかわいい。おもしろい。産める人が産まない、産めない社会はやはり悲しいと思う。多様な考え方を尊重することが前提だが、生物として自分の子を産み育てるという基本的な生命活動を、多くの人が素直に受け入れられる世の中になってもらいたいと切に願う。少子化対策のためなどではなく、自分のために。