5月5~7日にドイツ・ホッケンハイムでDTMドイツツーリングカー選手権開幕戦と併催されたWorldRX世界ラリークロス選手権で、アウディのエースとして“ダブルヘッダー”に臨んだマティアス・エクストローム(アウディS1 EKS RXクワトロ)が開幕3連勝を決め、DTMとの一人二役を完璧にこなすパフォーマンスを演じた。
DTMのレース1と並行して進んだ予選ヒートでは、WRC世界ラリー選手権“9タイムス・チャンピオン”セバスチャン・ローブ(プジョー208WRXスーパーカー)が前戦からの好調を維持。
Q1、Q2で連続トップタイムを刻むと、Q3こそ永遠のライバル、ペター・ソルベルグのフォルクスワーゲン・ポロGTI RXスーパーカーに首位を譲るも2番手をキープ。早々にセミファイナルへと駒を進めた。
また、ローブのチームメイトであるチーム・プジョー-ハンセンのティミー・ハンセンと、弟のケビン・ハンセンも好タイムをマークし、プジョー208WRXは3台揃って準決勝進出となった。
そのプジョー勢に立ちはだかったのが、ペター率いるPSRXフォルクスワーゲンRXチーム・スウェーデンの2台と、アウディ・ワークスのチームEKS、エクストロームとトーマス・ヘイキネンのアウディS1 EKS RXクワトロ。
セミファイナル1では、PSRXのヨハン・クリストファーソンが勝利を挙げ、ペター、ローブがファイナル進出。セミファイナル2では、2位に入ったティミー・ハンセンを挟んで、エクストローム、ヘイキネンのアウディS1が決勝へと進んだ。
エクストローム、クリストファーソンのフロントロウでスタートしたファイナルは、やはり王者エクストロームが先行。しかしクリストファーソンもレースを通じてピタリとアウディに追随し、反撃のチャンスを伺う展開となった。
「マティアスは決勝で本当に良いスタートをみせた。僕もつねに背後からプレッシャーを与え続けたんだけど、彼は6周の間にひとつのミスも犯さない完璧なドライビングをしていたよ」とクリストファーソン。
また、自身のパフォーマンスを振り返ったクリストファーソンは、「でも、Q1とQ2では完璧なマシンバランスを得られなかったことを思えば、良い週末を過ごせた。セットアップを変更してから準決勝ではセバスチャン(・ローブ)と互角に戦い、打ち負かすことができたんだ。明らかな前進だったね」
結局、ペターとともに3戦連続ファイナル進出のクリストファーソンもあと一歩及ばず。エクストロームが盤石の開幕3連勝を決め、2位にクリストファーソン、3位にプジョーのティミー・ハンセンが入り、今季初の表彰台を獲得した。
「今日は本当にマシンが良かった。ファイナルの前に雨は降って欲しくなかったけど、状況に最大限適応できるように集中した。スタートラインは本当にスリッピーだったからね。準決勝では少し攻めすぎて、ザックスカーブでコースオフしていたから、マティアスとヨハンという手強い相手と戦えて満足しているよ」と、3位表彰台を決めた24歳のティミー・ハンセン。
以下、4位にペター、5位にローブと続き、ヘイキネンが6位フィニッシュとなった。
そして、ポディウムの頂上に立った20分後には、DTMのレース2に向けた予選を戦うことになっていたエクストロームは、アウディRS5 DTMのコクピットに飛び乗る直前に、喜びのコメントを残した。
「アウディと僕らのチームにとって本当にハッピーな週末になった。ダブルヘッダーを実現してくれたみんなのハードワークに心からお礼を言いたいし、その努力に報いる結果になったね」
これで選手権ポイントで2位のクリストファーソンに16ポイント差とリードを拡大。3位にペター、4位にローブと続いている。
次戦第4戦のベルギー・ラウンドは連戦となり、5月12日に開幕。地元ベルギーのスターである元WRCドライバーのフランソワ・デュバルのスポット参戦など話題満載だが、昨年はエクストローム、その前年まではヘイキネンが2連覇しており、チームEKSにとってゲンの良いトラックとなっている。