5月6日にベルギーのスパ・フランコルシャンで第2戦の決勝レースが行われたWEC世界耐久選手権。2台のポルシェ919ハイブリッドでタイトル防衛に挑むポルシェは、総合3位、総合4位でレースを終えた。
4月の第1戦シルバーストンと同様、この第2戦にもローダウンフォース仕様で挑んだポルシェは、決勝レースでタイヤの摩耗やフルコースイエローの不運に苦しめられた。
予選でポールポジションを獲得した1号車ポルシェ(ニール・ジャニ/アンドレ・ロッテラー/ニック・タンディ)は、スタート直後はポジションを維持したものの、10周目にバスストップシケインで7号車トヨタに交わされ総合2番手に後退。
その2周後にはラ・スルスへの進入で8号車トヨタに、21周目にはチームメイトの2号車ポルシェにも交わされ、総合4番手までポジションを落としてしまった。
その後はピットのタイミングで一時、総合2番手までポジションを上げたが、94周目のピットイン直後にフルコースイエローが出される不運が重なり、116周目には総合4番手へ。
そこからポジションを上げることは叶わず、優勝した8号車トヨタとは50.155秒差、3位の2号車ポルシェとは33.291秒差の総合4位でフィニッシュした。
5番手からスタートした2号車ポルシェ(アール・バンバー/ティモ・ベルンハルト/ブレンドン・ハートレー)は、オープニングラップの1コーナーで前を走る9号車トヨタがオーバーランした隙に、ひとつポジションアップ。21周目には1号車ポルシェを交わして総合3番手まで順位を上げる。
その後、総合2番手までポジションを上げた2号車ポルシェは49周目には給油とタイヤ交換、ドライバー交代のフルサービスを行うためピットイン。総合4番手でコースに復帰する。
そして総合3番手に1秒差まで迫った55周目、右リヤタイヤがスローパンクチャーするアクシデントに見舞われ緊急ピットインを余儀なくされた。その後、2号車ポルシェは2時間以上に渡り総合4番手の座をキープすると、116周目に1号車ポルシェを交わして総合3番手へ浮上する。
以降も、ファステストラップを記録するなど、速さを発揮して総合2番手の7号車トヨタを猛追。レース残り1時間のタイミングで1.433秒差まで迫ったが、オーバーテイクは叶わずず、総合3位でチェッカーを受けた。
■チーム監督「最高のパフォーマンスは出し切っていない」
チーム監督のアンドレアス・ザイドルは「スパのレースでは明らかに、我々の最高のパフォーマンスを出し切ってはいない」と語った。
「2014年以来、毎年ここでポールポジションを獲得しているが、優勝はしていない。ローダウンフォース仕様の車両によって、ハイダウンフォース仕様のトヨタのスピードに対抗することはできなかった。タイヤの摩耗が激しかったからだ」
「しかしローダウンフォース仕様の3台目のトヨタを凌ぐことはできた。パンクによるピットインでロスタイムが発生したが、性能は確かだったよ。来週アラゴンで耐久テストを行って、ル・マンに備えていく」
総合4位に入った1号車ポルシェのロッテラーは「素晴らしいスタートを切ることができたが、トヨタが追い上げてきたときは驚いた。まさかラ・スルスのブレーキングで抜かれるとは思わなかったよ」とレースを振り返る。
「スティントの前半は好調だったが、その後タイヤの磨耗が激しくペースを保つことができなかった。最終スティントは霧雨にもかかわらず好調を維持できたよ。トヨタは強敵だけど、必ず挽回する」
3位表彰台に食い込んだ2号車のハートレーは「終盤はチームのすばらしい仕事のおかげで見事なゴールができた。上段ではなくても表彰台に登ることができたから、ル・マンへの自信につながったよ」と述べている。
新型ポルシェ911 RSRを投入しているLM-GTEプロクラスはリヒャルト・リーツ/フレデリック・マコウィッキ組91号車がクラス5位、ケビン・エストル/ミカエル・クリステンセン組92号車がクラス6位でフィニッシュ。
2015年型ポルシェ911 RSRで戦うLM-GTEアマクラスはデンプシー・プロトン・レーシングの77号車が2位表彰台、ガルフ・レーシング・チームの86号車はクラッシュから76周でリタイアとなった。