エンジャパンは5月8日、「残業規制」に関する調査結果を発表した。調査は、同社が運営する「ミドルの転職」のユーザーを対象に今年3月1日~30日の間に行い、755人から回答を得た。
その結果、残業規制が「サービス残業を助長する」という懸念を抱いている人が半数以上いることがわかった。
「会社全体で取り組み、時にはお客様のご理解を得ることも必要」
「残業規制をすることで残業時間(営業時間外の業務時間)は減ると思いますか?」という質問に対して、46%が「減ると思う」と回答。その理由としては、「規制で根本的な業務内容の見直しがされれば、減る」(44歳女性)というもののほか、
「まず意識が変わり、仕事の優先度や効率を考えて実行させることで確実に減る。ただ顧客の都合による残業はどうしても生じてしまうため、個の裁量では限界がある。会社全体で取り組み、時にはお客様のご理解を得ることも必要」(37歳男性)
などが挙がっている。全社的な協力や顧客への理解を得られれば効果がありそうだ、と考えている様子がうかがえる。
一方で、「減らないと思う」(54%)と回答した理由としては次のようなものが出ていた。
「規制のみでは、自宅への持ち帰りなど隠れ残業が増えるだけ」(38歳男性) 「サービス残業が増える」(43歳男性)
表面的な残業規制だけでは根本的な解決にはならないなど、政府が進める「働き方改革」を冷ややかに見る人もいるようだ。
「繁忙期などの一定時期や、過渡期には残業が発生してもやむを得ない」と考える人も
「残業規制をすることのメリット・デメリットは何だと思いますか」と質問すると、メリットの1位は「自分の時間が持てる」(61%)だった。2位以降には「家族サービスができる」(40%)、「一人ひとりのパフォーマンス向上につながる」(39%)、「法律である以上、遠慮せず帰れる」(38%)が続いた。
一方でデメリットの1位は「サービス残業を助長する」(55%)だった。2位以降には、「急な案件への対応が遅れる」(44%)、「給与が減る」(40%)が続いた。その理由として、
「残業でなく残業代が撤廃される恐れがある」(44歳男性)
「繁忙期などの一定時期や、過渡期には残業が発生してもやむを得ない」(38歳男性)
「月給が少なく残業代で維持できる面が多いため」(37歳男性)
などが挙がっている。残業を規制するとともに労基法の遵守も徹底させていかなければいけない、ということだろう。
デメリットについては、製造業と非製造業の間で多少の違いが見られる。製造業では「業務量を減らすと仕事に支障か゛出る」(全体:38%、製造業:44%、非製造業:35%)、「取引先との納期調整か゛必要になる」(同24%、30%、22%)の回答率が非製造業に比べて高い。残業規制はいいが、業種や仕事内容によって柔軟に対応してほしい、という思いがうかがえる。
「どうすれば残業がなくなると思いますか」と質問すると、1位は「業務フローを見直し、システム化する」(48%)、2位以降には「正社員を増やす」「給与を増やす」「トップや管理職が率先 して帰る」(いずれも39%)が続いた。