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シトロエン 2017年WRC第5戦アルゼンティーナ ラリーレポート

2017年05月09日 11:13  AUTOSPORT web

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2017WRC第5戦アルゼンティーナ クリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)
2017年5月9日
プレスリリース

シトロエンC3 WRC、アルゼンチンで好機をつかめず
 WRC第5戦アルゼンチンは、シトロエン・トタル・アブダビWRTにとって、あらゆる点で悔しさの残る週末となってしまいました。

 それでも、チームは自分たちのポテンシャルには確かな自信をつかんでおり、この先に待ちかまえるイベントにはこれまで以上に注力して優勝争いを視野に臨む構えです。

ラリーの展開
 27日木曜日夜、ラリーアルゼンチンは、コルドバの市街地を走るステージで幕を開けました。パルクフェルメで夜を明かした後、28日の金曜日から、各マシンは8SSで構成される長い1日に向けて走り出しました。

 クリス・ミーク/ポール・ナゲル組は、ただちに首位争いに挑んでいきます。SS3を終えた時点でミークの#7 シトロエンC3 WRCは総合2番手につけ、総合首位のライバルも10秒以内の差にとらえていました。

 しかしSS4、サンタ・ロサ‐サン・アグスティンのステージで、ミークのマシンはバンプで跳ね上げられ、転倒を喫してしまいました。ミーク/ナゲル組はSS4を走り切りましたが、それまでに何分ものタイムをロスしてしまいました。

 また、クレイグ・ブリーン/スコット・マーティン組も、このステージは徐行を余儀なくされる展開となりました。ブリーンはミークと同じ場所のバンプで跳ね上げられ、その際の衝撃でギヤボックスがダメージを受けてしまい、5速に入ったままとなってしまったのです。

 2台のダメージは大きく、その後のSSを走り切ることが困難と判断され、ロードセクションで以後の続行を諦めざるを得ませんでした。

 ラリー2規定を適用して翌日の再スタートを果たすため、シトロエン・レーシングのメカニックとエンジニアたちは、大掛かりな修復作業に取りかかることとなりました。

 修復作業も無事に終わり、29日土曜日、2台のシトロエンC3 WRCはパルクフェルメを出発しました。しかし、メカニックがブリーンのマシンにオイル漏れを発見。

 エンジンへのダメージを避けるため、ブリーンは大事を取ってデイ2の走行を取りやめることに。チームは、前日の衝撃でダメージを受けたパワートレーンを取り外して交換。万全の状態で競技最終日の再出走を目指します。

 一方のミークは、この日最初のSSでマシンが正常に動くことを確認すると、ふたたびペースアップ。SS11、SS12で2連続ステージウィンを獲得しました。

 ところが、ミークは午後のループでふたたびコースオフを喫してしまいます。SS14の高速セクションでバンクにヒットしたC3 WRCは8回転。クルーは無事でしたが、この時、ミークのラリーは完全に終わりを告げることとなってしまいました。

 このため、日曜日をチームからスタートしたのは、クレイグ・ブリーンのみとなりました。このラリー初参戦のブリーンは、独特な性格のイベントで経験を積んだことに喜びを感じていました。

 SS15のエルコンドル‐コピナではSS4番手タイム、SS16のミナクラベロ‐ジュリオ・チェーザレではSS3番手タイムをマークしたブリーンは、応用力の高さと成長の早さを示しました。

 しかし、規定を考慮してこの先のラリーに向けてスペアパーツの数を確保するために、最終サービスではリタイアすることを選択しました。

好ペースもリザルトには結びつかず
 今回のリザルトは、これまでラリーアルゼンチンを10度制覇しているシトロエン・トタル・アブダビWRTの期待には遠く及ばないものでした。

「我々は目標、つまり勝利を達成するために何をしなければならないかを知っています」とシトロエン・レーシングのチーム代表、イブ・マトンはコメントを寄せました。

「クリスはベストタイムやセカンドベストタイムを連発し、シトロエンC3 WRCが十分なペースを持っていることを証明してくれました。同様に、クレイグも日曜日の激しい優勝争いのなかで好タイムをマークしてくれたことも、C3 WRCのポテンシャルを示してくれています」

「残念ながら我々は、そのペースを結果につなげることは果たせませんでした。シーズン開幕以来、厳しい展開が続いていますが、我々は諦めずに懸命な取り組みを続けます」

「自分たちの努力が、徐々に報われ始めていると確信しているからです。我々のアプローチはこれまで同様、アグレッシブにラリーでの勝利を狙っていきます。そのためには、相応のリスクも惜しみません」

 この週末、メカニック陣営の見せた奮闘は、ポジティブな要素の筆頭に挙げられるでしょう。金曜日にコースオフしたミークのC3 WRCを修復するために、赤い軍団のテクニカルチームは、抜群の技量を見せました。

「我々のメカニックたちは間違いなく、ここ15年で最高のラリーチームになっています」とイブ・マトンは強調します。

「彼らは寡黙にマシンの修復に取り組んで完璧なコンディションに仕上げ、土曜日はクリスが2度のステージウィンをマークしました。それだけに、彼らの忠実な必死の取り組みが、もっと大きなかたちで報われなかったことを心苦しく思います。ラリー2規定で再スタートさせたマシンをふたたび失うのは、残念なものです」

次は第6戦ポルトガル
 チームは南米から戻り、すぐに今後に向けたラリーの準備を始めることになります。イタリアで予定されているテストは、ラリーポルトガルとラリーイタリア・サルディニアへの準備の一環です。

 次戦(5月18‐21日)は、クリス・ミーク/ポール・ナゲル組、クレイグ・ブリーン/スコット・マーティン組、ステファン・ルフェーブル/ギャビン・モロー組、ハリ・アル‐カシミ/クリス・パターソン組という4台のシトロエンC3 WRCがエントリーします。