2017年05月09日 10:24 弁護士ドットコム
「職場のトイレが男女共用で、とても苦痛です」「トイレに行きたくても行けない状況でツライ」。インターネット上のQ&Aサイトには、そんな悩める女性たちの投稿がいくつも寄せられています。
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ある投稿によると、彼女たちがつとめる会社が入るビルは、トイレが「男女共用」となっています。洋式の個室トイレが1つしかないパターンや、男性用小便器+共用の洋式個室があるパターンなどさまざまですが、いずれにせよ、誰がいつ、どのぐらいの時間、トイレに入ったか、周りにバレてしまうそうです。
ある投稿者は、男女共用であることがあまりに苦痛だったために、職場で水分をほとんど口にしなくなったそうです。もし、便意を催したら、昼休みに、職場から歩いて数分のコンビニまで行くようにしています。
会社に対して、男女別のトイレ設置などを求めることはできないのでしょうか。村松由紀子弁護士に聞きました。
「職場のトイレの問題は、日々のことですし、場合によっては業務にも支障を来しかねない深刻な問題だと思います」
村松弁護士はこう切り出しました。職場のトイレに関するルールは、あるのでしょうか。
「法律上は、事業所・事務所のトイレを『男性用と女性用に区別すること』と明確に定められています(労働安全衛生法に基づく労働安全衛生規則、および事務所衛生基準規則)。
これらの規則では、従業員数に応じたトイレの設置数も定めています。たとえば、女性20人以内ごとに1個以上とすることなどです。つまり、法律も、職場のトイレ設備の重要性を認識し、事業者に適正な設置を求めているのです」
投稿者は会社に対して、男女別のトイレ設置を求めることはできるのでしょうか。
「投稿者の職場は、法律に違反しているといえるので、事業主(会社側)に対して、女子トイレの設置を求めることができます。
しかも、トイレ設置基準に違反している場合には、『6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金』と、かなり重い罰則が規定されています。もっとも、罰則が適用されることはあまりないようですが・・・。
たしかに、職場に女性トイレを設置することは、物理的に困難なこともあるかと思います。しかし、法律に明確な規定があり、違反した場合は罰則まであると事業主が知れば、女子トイレ設置に真剣に取り組んでくれるのではないでしょうか」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
村松 由紀子(むらまつ・ゆきこ)弁護士
弁護士弁護士法人クローバーの代表弁護士。同法人には、弁護士4名が在籍するほか、社会保険労務士3名、行政書士1名が所属。交通事故をはじめとする事故、相続等の個人の問題から企業法務まで幅広く扱う。
事務所名:弁護士法人クローバー
事務所URL:http://www.yun-ken.net/