映画『ニワトリ★スター』の追加キャストが発表された。
同作の物語は、大麻の密売で生計を立てながら共同生活をしている草太と楽人の2人を軸に展開。目標もなく生きてきた2人が巻き込まれていく「あいつら」の恐怖や、街の不良を操るヤクザの八田、DVの恐怖に怯える未婚の母の姿などが描かれる。これまでに主人公である大麻の売人・草太役を井浦新が演じることが明らかになっていた。監督は同作が初監督作となるかなた狼。
今回出演が発表されたのは、全身タトゥーに赤髪のモヒカン姿で過剰な性欲を抱えた楽人役を演じる成田凌、DVを受ける薬物中毒のシングルマザー役を演じる紗羅マリー。さらにヤクザの組長役に津田寛治、草太の父親役に奥田瑛二、草太と楽人が暮らすアパートの管理人役にLiLiCoがキャスティングされている。
井浦は撮影を振り返り「かなた狼監督からの『今まで見せてきた井浦新を、1ミリでも見せたら許さんぞ』と言う言葉から始まりました」と明かしているほか、「自分にとっての大切なものってなんだろうなって、この映画を観た後にそう感じてもらえる、そんな映画になったのかなって思います」とコメント。
また成田は「体、時間、人間関係、感情、欲、全てをこの作品に持っていかれてしまいたい、捧げたいと思い、必要のないものは排除し、必要なものは求め、染み込ませ、受け入れ、生活にし、大阪という街に、人に、生かされた、2016年の夏でした」と語っているほか、ヒロイン役で映画初出演を果たした紗羅マリーは「私のファンでいて下さってる方々に、見たこともない私を、姿をみてもらえると思います」とのコメントを寄せている。
同作は2018年春に東京・ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次公開。また5月17日に開幕する『第70回カンヌ国際映画祭』のマーケットでプレミア上映される。
■井浦新のコメント
かなた狼監督からの「今まで見せてきた井浦新を、1ミリでも見せたら許さんぞ」と言う言葉から始まりました。相手の演技を受けている時のちょっとした表情や、自分がついしてしまう生理的な芝居をとにかく捨てていくということ。自分のやりやすいことをいかに出さないか、ということがずっと意識の裏側にあって。そこへとても気を張っていました。
そもそも、あれもこれもと言うのは、正直、通用しない監督だろうというのがありました。雨屋草太を演じるにあたっては、一点突破でいこうと。草太は、監督である「かなた狼」、かなた狼である「田中雄一郎」(監督の本名)という一人の男が投影された役なので、ずっと自分の中には田中雄一郎という存在があって。最初はそれをなぞっていく、拾っていく。田中雄一郎という人間を自分なりに解釈していきながら、最終的にはなぞるという領域を飛び越えて自由になっていくということしか考えていませんでした。その上では、自分がどうかと言う事よりも、田中雄一郎という人間をとにかく食っていこう。食っていって食っていって、全部喰い散らかした後に、残りカスが出て来る。その残りカスが出てきた頃に、自由になるんだと。そうしていく内に、芝居をしているけれど、どんどんドキュメントになっていくという感覚が出てきて。そういう意味でこの映画へのモチベーションは、監督である「田中雄一郎」と言う一人の男をとにかく喰らい尽くしてやろうという挑戦でもありました。
監督がやりたいことや撮りたい画、欲しい芝居を、つなぎたいようにつないで。こんなに無茶苦茶に監督のやりたいことをやりきっている映画は、それに参加して完成した映画を観た自分でさえも、感想の整理がつきません。ただただ、監督が本当にやりたいように作った映画という、物凄い熱量だけをすごく感じている。もう、挙げきれないほどのことが「ニワトリ★スター」には詰め込まれていて、この映画を観た人がそれを全部咀嚼していくのは相当な時間がかかると思うんですけど、でもそれって、実は人生に例えられていて。何かを見失ってしまう日もあれば嬉しい日があって…、一日の内でもいろんなことが起きるけど、人生で本当に大切なことって、すごくシンプルなことだと思う。これだけの映画を見せ付けられても、観た人にとって、本当にシンプルで大切なたった一つのことが見えてくるような、そのきっかけになるような映画になったらいいな、というのをすごく感じました。自分にとっての大切なものってなんだろうなって、この映画を観た後にそう感じてもらえる、そんな映画になったのかなって思います。正直、この映画は「こんな映画です!」ってまぁ言えないだろうな、って思います(笑)監督が原作である小説を書いている時から知っている者としたら、「あぁ、映画になったんだな」「遂に映画になっちゃったな」と言う感想です。
■成田凌のコメント
体、時間、人間関係、感情、欲、全てをこの作品に持っていかれてしまいたい、捧げたいと思い、必要のないものは排除し、必要なものは求め、染み込ませ、受け入れ、生活にし、大阪という街に、人に、生かされた、2016年の夏でした。
俳優として、この上のない贅沢な時間、全てが挑戦であり、全てが”星野楽人”という人間を生かすためのものでした。
映画「ニワトリ★スター」みなさまに届く日が近づいています。
未来のお孫さんに、自分は劇場で観たと、自慢してやってください。
■紗羅マリーのコメント
何もかも、台本というものを開いた事も、自分以外の人間の名前を名乗る、ということも全てが初めての挑戦でした。私のファンでいて下さってる方々に、見たこともない私を、姿をみてもらえると思います。
お話をいただき、やりたいです!と言った日から、決定もしていないのにダイエットを始めました(笑)。撮影が始まってからは、全く何が正解なのかわからず、自分との戦いでしたが、監督も、俳優さんも、スタッフのみなさんもみーーーんな一緒に戦ってくれたので輝くことが出来たと思います。
愛というものは、自由自在に変化するものだと思います。なので、私は愛と言う言葉があまり得意ではありません。でも、この世の中で、変わらない愛がちゃんとあるんだという事。生を受けてから死ぬまでの中に、必ず変わらない愛をプレゼントしてくれる人がいるから、見失わないように。この映画をみて、いろんな愛を感じてください。
■LiLiCoのコメント
やるならとことんやる。当たり前のことなのにそんな人が少なくなってる気がします。でもそんな方がこの作品に集まりました。それは監督の萌ぇ~に刺激されたのもあると思います。
監督には、衣装合わせで始めてお会いしましたが、「太もも見せられますか?お尻の線は?」と恐る恐る聞いてきたのが面白かった。セックスシーンなのに、太ももやお尻の線を見せないでどう描く?と思いましたが、監督の可愛さにノックアウトされ、しばらく質問を聞いていました。最後に「監督はどうセックスしますか?お尻くらい見えるでしょ?」と返したときの“やられた!”顔が一生忘れられません。その瞬間にこの監督の言うことは全て聞いてみようと。だってわたし、フルタイムで女優やってないのに、この役でわたしに声を掛けるということはそれなりにやってくれると信じているからですよね?それを叶えるのがプロの仕事だと思います。井浦新さんに撮影中にちょっとしたドッキリを仕掛けたりというのも監督のアイデア。指示しているなか、めっちゃわくわくしていたのも可愛かった。成田くんとのシーンでカメラワークを確認している所でわたしはわかりやすく体勢の形を作りましたが、監督が勝手に成田くんの役をやって、カメラアングルを決めた瞬間にわたしのお尻を叩きました。監督、あれはなんだったの?(笑)
個性的過ぎる役者が揃うと、ここまで熱くなります!映像もカッコいい。映画で成田凌くんの童貞を奪えたのは一生の自慢!たまに成田くんがいまでも夢に出てきますよ(笑)。
■津田寛治のコメント
骨太な作品で僕が挑んだ役は、爬虫類のようにガリガリに痩せたKICHIGAYヤクザ。13kg減量して現場に臨んだのですが、監督の優しく熱い男気にかなり助けられました。男達の契り、そして家族の絆が炸裂するニワトリスター!是非観てください!
■かなた狼監督のコメント
自身で書き上げた小説を監督し映像化するという事。それを具現化させていく過程の全てが挑戦でした。
文字の世界観で思い描いていたキャラクターと、実在の役者が演じるキャラクター。想定内外をも楽しみながら世界観を構築する事や、役者や制作スタッフとの可能な限り意思疎通や稽古。製作GUM株式会社としての新たなる映画製作の模索。
実在する道草アパートメントという建物をセットとして扱い、身近なる才能を活用することなど、すべてが自分たちなりの試みでした。
手法がどうのではなく、感覚的に新たなる時代の邦画を作ってみたいとの思いでした。躍動感のある凶暴さと古典的で繊細な要素、サンプリングやコラージュ、アニメーションなど、様々な異素材をニワトリ★スターの世界観として共存させ濃縮し、理屈ではなくエネルギーが溢れる作品を目指しました。
強烈な違和感を感じながらも、ご鑑賞後に何か人間の想いやエネルギーのようなものを胸に残させて頂ければと思います。