F1のCEOチェイス・キャリーは、前任者のバーニー・エクレストンはF1に大きな貢献をしてきた一方で、その成長を妨げてきた部分もあると、批判的な発言を行った。
2017年1月にF1を買収して新たなオーナーとなったリバティ・メディアの経営陣は、それまでCEOだったエクレストンを名誉会長とし、キャリーを後任のCEOに指名した。
キャリーは、イギリスのプレスアソシエーション通信のインタビューにおいて、自身がCEOに就任してから分かってきたことのひとつとして、エクレストンの経営姿勢がF1の事業成長や人気拡大の可能性を妨げていたという問題を挙げた。
「もっと多くのことに“イエス”と言いたい」とキャリーは説明した。
「提案したことに片っ端からすべて“ノー”と言われるならアイデアを出す意味がない。フラストレーションが溜まるだけだ」
「今までやっておくべきだったのにやれていないことが山ほど積み重なっている。F1界は過去5、6年にわたり、その潜在力をすべて発揮し、資産を活用するということをまったくやってこなかったのだと感じた」
「我々は誰しも間違いを犯すし、完璧な人間など存在しないが」
「バーニーは何十年も前にF1事業を引き受けて、80億ドル(約8980億円)で売却できるまでに育て上げた。その実績についてはあらゆる称賛を受けて当然だ」
「だが、現代の環境下では、スポーツにもマーケティングが求められる。そして我々は、F1をマーケティングしていなかったのだ」
キャリーは、F1に悪影響を与えた問題のひとつとして、エクレストンが長期戦略の実施を試みようとせず、短期的な施策にしか興味を示さなかった点にあると指摘した。
リバティ・メディアがショーン・ブラッチスを商業担当、ロス・ブラウンを競技担当として経営チームに送り込んだ理由のひとつには、それによって5年後のF1はどうあるべきかというビジョンをまとめていってほしいとの思惑がある。
「我々が就任して3カ月がたったが、その間、このスポーツに関して、目先のことだけ考えること、来週何をすべきかに意識を集中させることは、さほど有益でないのだと指摘してきた」
「我々にとっては、F1が3カ月後ではなく3年後にどうなっているかの方が大切な問題なのだ。バーニーはいつでも、すぐ目の前のことだけに集中していたが、我々は長期的な価値を見出すことに注力していく」
「過去に下されたいくつかの決定については、それらを熟慮するために、より適切なプロセスを通るべきだったと考えている。たとえば現在のパワーユニットは、あまりにも複雑であまりにも高額になってしまった一方、F1ならではの神秘的なサウンドを失ってしまった」
「我々は今後さまざまな取り組みを行っていく。そのうちいくつかは時間もかかるだろう。エンジンの刷新は2カ月では行えない。そんなことをしても損害の方が大きいだけだ」
「我々はビジネスを管理する手段を持ちたい。単に情報だけ出してメディアがストーリーを作ってくれるのに任せていてはダメなのだ」