車や酒、新聞など、「若者の〇〇離れ」には多くのレパートリーがあるが、リンゴもその1つだ。総務省が発表した、2016年度の家計調査報告によると、70歳以上の1世帯あたりのリンゴの年間購入量が20.8キロだったのに比べ、29歳以下は1.9キロだったという。これを東奥日報が5月6日に報じ話題を呼んでいる。
「皮をむくのが手間」だから敬遠されてる?
リンゴの生産量全国1位の青森県りんご果樹課の担当者はキャリコネニュースの取材に対し、「リンゴに限らず果物全体の消費量が減っていますが」と前置きした上で、次のように語る。
「一般消費者の声を聴いたところ、『他の果物を食べるから』『他と比べて値段が高いから』『皮を剥くのが手間だから』の3つが理由として多く挙げられていました」
戦後間もないころ、リンゴとミカンは果物の代名詞と言われていた。しかし今やスーパーで手に入る果物の種類は豊富になり、桃やメロン、柿など、様々な果物が購入可能だ。これほど選択肢が多い中、リンゴを選ぶメリットを感じられていないのではないか、という推測のようだ。
また、世帯構造の変化も影響していると考えている。
「核家族化が進み、リンゴ丸々1個を購入しても食べきれないお客様が増えてきたのも一因でしょう」
果物は「もはや嗜好品。日常食じゃない」
青森県は、全国の市場関係者約250人を「青森りんごマイスター」に認定し、各地域や地元の小学校で青森リンゴのPRをしてもらうことで消費拡大に努めている。しかし、根本的な原因は「若者のお金不足」なのではないかという声もある。県りんご果樹課の担当者も「お金が無いから果物は後回し、という方も一定数いるでしょうね」との見解を示していた。
2016年と2006年の総務省家計調査を見比べると、2人以上の世帯におけるリンゴへの支出金額は、69歳以下のすべての年齢で、10年前より減少している。主食にもそのおかずにもなりにくい果物を買うより、肉や魚、総菜などの購入に充てたい、と考える人が多いのだろうか。
ネットでも「もはや嗜好品。日常食じゃない」「ぶっちゃけ金がないだけじゃね」など、金銭面の問題を指摘する声が多かった。