今季第3戦を迎えたTCRインターナショナル・シリーズは、WEC世界耐久選手権との併催となるスパ・フランコルシャンが舞台。土曜レース1では今季から参戦するコムトゥーユー・レーシングのアウディRS3 LMS、王者ステファノ・コミニが今季初勝利を挙げ、新型モデルのアウディにTCRインターでの初勝利を献上。
続くレース2では、スポット参戦を果たしたWTCC世界ツーリングカー選手権の名手、ロブ・ハフがレパード・レーシングのジャン-カール・ベルネイとワン・ツーを決める大活躍を演じた。
アジア中東のフライアウェイを終え、いよいよ舞台をヨーロッパに移したTCRインターは、今大会から参加台数も増加。
地元ベルギーからもTCR国内シリーズを戦うチームが合流し、有力チームのブーツェン・ジニヨン・レーシングは、こちらもWTCCに参戦する大ベテランのトム・コロネルを起用。17歳のルーキー、ベンジャミン・レセンスとともにホンダ・シビック・タイプRでのエントリーとなった。
金曜の予選では、このラウンドからフレデリック・バービッシュを加えた2台体制に拡大していたコムトゥーユーのアウディが、コミニの予選ポールポジション獲得を含めフロントロウを独占。
しかし、土曜の午後に行われたレース1では、レパード・レーシングのベルネイが抜群のスタートを決めアウディ2台の間へ。さらに大外からはM1RAの若手ハンガリー人、アッティラ・タッシのシビックが伸びを見せ1コーナーで首位を奪取。17歳のレセンス、コミニ、バービッシュ、ベルネイと続いてオー・ルージュを駆け上がる。
しかし1ラップが長いスパでは、あらゆるポイントでオーバーテイクを仕掛けることが可能であり、オープニングラップのレ・コンブでコミニが2番手に浮上。そのまま先頭のタッシにプレッシャーをかけ始める。
続く2周目には、コミニが1コーナー立ち上がりでうまく車速を乗せタッシをかわすと、そのままリードを拡大。3周目にはシビック対決を制したレセンスが2番手に浮上し、そのままのポジションでチェッカー。3位には終盤ベルネイの猛追を抑えきったタッシが入った。
■レース2は1コーナーで多重クラッシュ発生
翌朝、日曜午前に行われたレース2では、リバースポールによりフロントロウにつけたクラフト-バンブー・ルクオイルのペペ・オリオラ(セアト・レオンTCR)が、1コーナーのラ・ソースでコロネルにヒットされスピン。そこに後続のマシンも絡み、プッシングを受けたチームメイトのヒューゴ・バレンテ(セアト・レオンTCR)もスピンを喫し、戦列を去る波乱に。
そんな混乱のスタートに乗じて飛び出したのは、地元チーム、デラヘイヤ・レーシングのフォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCRをドライブするエドゥアルド・モンドロン。その背後には、同じくゴルフに乗るロブ・ハフ、そしてレース1で大活躍を演じたレセンスのシビックがつけた。
しかし、2周目のレ・コンブで勝負に出た3番手のレセンスは、モンドロン、ハフのゴルフをまとめて仕留めにかかるが、若さゆえか勢い余ってのオーバーラン。
ふたたび3番手にポジションを戻そうとするが、その間隙を突いたのが名手ハフで、ホームストレートまでにモンドロンをかわし首位に浮上した。
翌周にはモンドロンをかわしたレセンスがハフに迫り、再三のチャージを仕掛けると、4周目のレ・コンブでふたたびサイド・バイ・サイドに。
両者マシンヒットのバトルはハフに軍配。手練れの技術に屈したレセンスがコースオフを喫し、5番手までポジションを失う結末に。
これでモンドロンを従えて体制を立て直したいハフだったが、5周目にその2台を一気にかわしていったのが、ハフのチームメイトであるベルネイ。
そのまま逃げ切ったベルネイが、昨年に続きスパでのレース2連覇を達成。フランス人ながらも“スパ・マイスター”であることを見事に証明する形となった。
続く2位には、スポット参戦で見事な適応を見せたハフ。そして3位には、前戦勝者で昨年までレパード・レーシングでベルネイのチームメイトでもあったコミニのアウディが、終盤にモンドロンをかわして連続表彰台を確保した。
TCRインターナショナルはこのまま欧州連戦に突入し、次戦は5月13~14日のイタリア・モンツァ戦となる。