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D’station Racing スーパーGT第2戦富士 レースレポート

2017年05月08日 13:42  AUTOSPORT web

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スーパーGT第2戦富士の表彰台を獲得したD'station Porscheの藤井誠暢とスヴェン・ミューラー
D'station Racing
Race Report

AUTOBACS SUPER GT SERIES Round.2 Fuji
May 3-4 2017

波乱のレースで激しい追い上げをみせ3位! 初表彰台を獲得

Qualify : 14th (1'42.374)
Race : 3rd (102 Laps)

 ポイント獲得は果たしたものの、第1戦岡山では納得のいかないレースウイークを送ったD'station Racing。迎えた5月3~4日の富士スピードウェイでの第2戦は、捲土重来を期するレースだ。

 爽やかな晴天の下で、5月3日午前9時からスタートした公式練習では藤井誠暢と、この富士で初走行となるスヴェン・ミューラーが交代しながら感触を確かめていき、午後の公式予選に向け、藤井がセッション最後の10分間の専有走行でアタックを展開。1分37秒057というタイムでトップで終えた。ただ、GT300クラスは上位18台が1秒以内という超接戦。チームは午後2時40分からの公式予選に向け、ノックアウト予選のQ1突破を確実なものにするべく、エースの藤井をQ1に、ミューラーをQ2のアタッカーに据えた。藤井は4周目に1分36秒428という素晴らしいタイムをマークし、6番手でQ1突破を達成。Q2のミューラーも、路面状況が向上するなか、アグレッシブな走りで1分35秒986を記録。これでD'station Porscheは3番手を獲得! ……したかに思われた。

 しかし予選終了後、ミューラーのアタックの全周において、コースの白線外を走行したという“四輪脱輪”のペナルティを取られてしまった。これでタイムは抹消され、まさかの14番手に。ヨーロッパの基準ならば問題はなかったが、日本では白線外走行はかなりシビア。これが災いしてしまった。

 とはいえ、D'station Porscheにスピードがあることは間違いない。晴天に恵まれ、5万8000人が訪れた5月4日午後2時10分からの決勝レースで、D'station Porscheは猛然と追い上げを開始する。

 スタートを務めた藤井は持ち前のD'station Porscheの速さを存分に活かし、わずか9周の間に5台をかわし8番手に浮上する。予選で失ったポジションを少しでも早く取り返そうプッシュを続けるが、10周目のレクサスコーナーで前を行く#55 BMWをかわそうとした際に、進路を塞がれてしまい、接触を避けようとステアリングを切ったためスピンを喫してしまう。藤井はすぐにコースに戻り、ロスは15秒ほどだったが、ポジションは23番手まで落ちてしまった。

 しかし「絶対に取り返す」と決意した藤井は、怒涛の追い上げを始める。1台、また1台……。まるでクラス違いのようなD'station Porscheの速さで、他車のピットインにも乗じ、スピン前を上回る5番手までポジションを戻してピットへ。ミューラーへ交代した。

 ミューラーも前日の予選でのロスを取り返すかのように、富士で初のレースとは思えないスピードで周回を重ねる。首位が1分39秒台から40秒台のペースのなか、1秒近く速いラップを重ねていった。気付けば表彰台圏内は目の前だ。70周を終えてピットに戻ると、ふたたび藤井にステアリングを託した。

 コースに戻ったD'station Porscheの数秒前方には、タイヤトラブルで首位からポジションを落とした#4 メルセデスが走っていた。藤井はすぐに1分38秒083というファステストラップをマークし、一気に#4 メルセデスの背後へ。#4の片岡龍也選手のたくみなラインどりですぐにオーバーテイクはできなかったが、D'station Porscheの速さが勝り、77周目にオーバーテイク。これで3番手に浮上した。

 藤井は前を行く#11 メルセデスを追うが、その差は10秒近くある。最後までその差を詰めようと高いペースを保ったが、最後はタイヤの限界を少しずつ感じ取ったため、労る方向へ切り替え3位でチェッカーを受けた。実際、ピットに戻ったD'station Porscheのタイヤは、あと数周でなんらかのトラブルが出そうなほどだった。それほど藤井は攻め続けたのだ。

 レースに“タラレバ”は禁物だが、D'station Porscheは間違いなく勝てるポテンシャルをもっていた。その点では悔しさが残るが、ドラマチックなレースで得た3位表彰台は、D'station Racingにとっては嬉しい初表彰台。藤井とミューラーは表彰台で、すがすがしい笑顔をみせた。そして、D'station Porscheが一線級の速さがあること確認ができた。次戦オートポリスからは、ミューラーがドイツでレースに出場することもあり、開幕前からミューラーの代役としてオファーをしていた2015年王者のアンドレ・クートを藤井のパートナーに迎え、さらなる高みを目指す。

Tomonobu Fujii Driver
今回は練習走行から速さがあり自信をもっていました。結果的に予選でのタイム抹消や決勝での接触やスピンなど、浮き沈みのある週末になりましたがパフォーマンスに高い手応えがあり、長丁場のレースでチーム力を発揮できたと思います。もちろん優勝に届かなかった悔しさは残りますが、D'station Racingのチーム結成2戦目で表彰台を得られたことは率直に嬉しいです。レースを通じてマシンもタイヤの仕上がりも素晴らしかったです。次戦のオートポリスも良いレースができると思いますので期待してください。

Sven Müller Driver
富士は初めてだし、予選までにあまり走る機会がなかったんだ。だからどこまで攻めていいのか分からなかったのが予選でのペナルティに繋がってしまったね。ここまで厳しいとは思っていなかったよ。レースではなるべく速く走りながら、タイヤを労る妥協点を探していた。富士はポルシェ向きのコースだけど、初めての日本でのシーズンで表彰台を獲れて嬉しいよ。残念ながらドイツのADAC GTマスターズに出場しなければならないので、次は鈴鹿での参戦だけど、ポルシェは長距離レースで強いので楽しみだよ。

Satoshi Hoshino Team Principal
応援くださった皆さんありがとうございました! 予選、決勝といろいろなことがありましたが、14番手スタートからの3位表彰台獲得なので、素晴らしい結果だと思います。レースでも浮き沈みもあり、ポルシェ カレラカップ ジャパン(PCCJ)でもいろいろなことがあった週末でしたが、自分もPCCJでしっかり完走を果たすこともできましたし、最高に近い週末だったのではないでしょうか。このチームは本当にすごいポテンシャルをもっていると思います。目標である優勝に向けて、自信をつけることができました。

Toshiaki Takeda Team Director
自分たちが準備してきたセッティングが走り出しはマッチしておらず、コンディションが整うまでは苦労しそうでした。結果的には公式練習でトップ、予選で3番手タイムはマークしましたが、浮き沈みが激しい週末になりました。今のポルシェはコースを選ばずレースで強さを発揮し、アベレージも高いので、岡山でもこの富士でもレースでは自信をもっていました。次戦もこれまで2戦のデータとヨコハマタイヤさんのデータを活かしていけば、自ずといい結果が出るのではないでしょうか。

Porsche Carrera Cup Japan
ポルシェ カレラカップ ジャパンでは、星野敏、星野辰也が2台のD'station Porscheで参戦。第3戦は荒れた展開だったが、第4戦で星野敏が4位に入賞した。