マクラーレン・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のマクラーレン・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回は第4戦ロシアGPを、ふたつの視点でジャッジ。
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結果だけを見れば、ホンダはF1バーレーンGPに続いて、ロシアGPでもトラブルに悩まされた。まるでホンダがバーレーンGPからロシアGPまでの2週間で、何もしていなかったように思えるが、そうではない。バーレーンGPとロシアGPで起きたトラブルは別の要因だったからだ。
バーレーンGPで立て続けに起きたトラブルは、MGU-Hのベアリングが固着するというものだった。当初はバーレーン特有の外的要因も疑われたが、オイルなどを分析した結果、砂塵などの混入は確認されなかったため、温度やオイルの流入の管理を見直したものをロシアGPに投入した。
果たして、ロシアGPでは3日間、この新しいMGU-Hを搭載したフェルナンド・アロンソとストフェル・バンドーンのパワーユニットにバーレーンGPで起きたトラブルは発生しなかった。つまり、MGU-Hの問題の原因はそれほど深刻なものではなかった。
しかし、ロシアGPでは別の問題が日曜日のレーススタート直前に、アロンソのマシンに発生した。フォーメーションラップ中に、ERS(エネルギー回生システム)が何らかの原因で故障し、デプロイメントが行えない状況となった。
これは開幕戦のレース序盤にバンドーンのPUに発生した問題と症状は同じだった。ただ開幕戦のトラブルはレースをスタートさせた後だったので、1回目のピットストップ時にスイッチをリセットして、システムを再起動させることができた。ところが、今回のアロンソはフォーメーションラップ中だったため、ピットインするとピットレーンスタートとなってしまうため、ホンダは走行中にコース上でリセットしてもらう指示を出した。結果的に、これが裏目に出たわけである。
一方、バンドーンもフリー走行でMGU-Kに耐久性の問題が出て、パワーユニット交換を強いられ、最後尾からのスタートを余儀なくされた。ただし、これも問題自体は交換できるメンテナンス部品の耐久性の問題だったため、深刻なものではなかった。
つまり、ホンダは起きたバーレーンで問題にはきちんと対処したものの、ロシアでは別の問題に直面したわけである。
もちろん、小さなトラブルでもトラブルに変わりはない。しかし、いまのホンダが出口の見えないどん底にいるのかというと、決してそんなことはないのである。
「4レースでこれだけ信頼性の問題が出るというのは、どんな理由であれ、いただけない」と長谷川祐介ホンダF1総責任者は戒めるが、同時に「信頼性を上げて、パワーを上げることができれば、もう少しいい戦いができるのではないか」とも語っている。
どん底にいるが、出口はある。そうでなければ、ザウバーが2018年にホンダとパートナーを組むという決定は下さなかったはずだ。
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マクラーレン・ホンダ辛口コラム ロシア編:アロンソの精神状態が明らかに悪化