5月6日、ベルギーのスパ・フランコルシャンでWEC世界耐久選手権の第2戦が行われ、3台体制で挑んだTOYOTA GAZOO Racingは8号車トヨタTS050ハイブリッドが優勝。2位に7号車トヨタが続き、ワン・ツーフィニッシュを飾った。
6時間の決勝レース序盤は、ポールシッターの1号車ポルシェ919ハイブリッドがポジションをキープ。そこにセバスチャン・ブエミの操る8号車トヨタ、マイク・コンウェイの7号車トヨタが続く展開となる。
スタートから20分が経過した10周目、1号車ポルシェにプレッシャーをかけ続けたコンウェイがオーバーテイクに成功してトップに浮上。その3周後にはブエミも1号車ポルシェを交わして、早くもワン・ツー体制を構築した。
レース折り返しをすぎた時点では、小林可夢偉操る7号車トヨタが首位を快走。7号車トヨタはホセ-マリア・ロペスの負傷欠場で、可夢偉とコンウェイのふたりで6時間の決勝レースを戦うが、お互いに疲労の色を見せずにトップを快走する。
しかし、その後他車のクラッシュにより掲示された2度のフルコースイエローは、7号車トヨタには不運なものとなってしまった。どちらのフルコースイエローも7号車トヨタがルーティンのピットを済ませた後に掲示されたため、最終的に1分近いタイムロスを被ってしまった。
その結果、レース終盤は僚友8号車がトップに浮上。7号車トヨタは後方から追いかけるポルシェ勢を抑えながらの走行を強いられる。
レース残り1時間を切って、7号車の可夢偉はポルシェ1号車を振り切り、トップの8号車ブエミを追いかけたものの、わずか1.9秒届かず。総合2位でチェッカーを受けた。
■小林可夢偉「僕たちは間違いなく今日最速のクルマ。運がなかっただけ」
「僕たちのTS050ハイブリッドは、間違いなく今日最速のクルマで、これで勝てなかったのは運がなかっただけのこと」と可夢偉。
「全力で追い上げ、レースの最後にはセバスチャン(・ブエミ)の直後まで追いつきましたが、チームがワン・ツー体制でファイナルラップを迎えることを優先し、リスキーな追い上げは止めました」
「チームにとっては最大のポイントを獲得でき、最高の結果となったと思いますよ」
可夢偉の猛追を防ぎきって、開幕2連勝を飾った8号車のブエミは「今日の僕たちは、(トヨタの)3台の中では最速とは言えず、本来は7号車こそが勝利を得るに値する車両だったと思う」とレースを振り返った。
「彼ら(7号車トヨタ)はフルコース・イエローで大量リードを失った。僕たちはそれほどいいペースではなかったにもかからわず、それでも勝てたというのはいい兆候と思うべきなのかもしれないね」
また一貴も「正直なところ複雑な気分です。表彰台の中央に立てたのは嬉しいですが、7号車は本当に不運でした」と述べている。
「昨年、不運続きだった僕たちにも、今年は運が向いて来たのだと感じています。最高の結果とともに、いい気分でル・マンに向かうことができますね」
ル・マン24時間を見据え、今大会に投入された3台目のTS050ハイブリッド、9号車はオープニングラップの1コーナーで、1号車ポルシェのインに飛び込んだが、ブレーキングで止まりきれずにオーバーラン。大きくポジションを落としてしまう。
その後、スタートドライバーを担当したニコラス・ラピエールは47周を走行。48周目に国本雄資へとステアリングを引き継いだ。
レースで初めてTS050ハイブリッドをドライブすることになった国本は、初走行のスパ・フランコルシャン、そしてバックマーカーの処理に苦労しながらも、周回を重ねるごとにペースアップして、チームメイトのラピエール、ステファン・サラザンとともに総合5位入賞。目標としていた完走を成し遂げた。
レース後、国本は「たくさんのことを学べた」と手応えを語った。
「WECでの初レース、そして初めてのスパに臨み、たくさんのことを学べました。多くの周回をこなしたことで、遅いクルマを追い越す手法やタイヤマネージメントなどについても貴重な経験を積むことができました」
「順位は今日の一番の目標ではありません。今回はル・マン24時間へ向けた準備という重要なステップであり、その意味ではとても満足しています」
TOYOTA GAZOO Racingが挑むWEC第3戦はシリーズ天王山とも言えるル・マン24時間。チームの佐藤俊男代表も「ル・マン24時間レースは、我々にとって最大の目標であり、レースまでは限られた時間となりますが最後の仕上げに全力を尽くしていきます」と意気込む戦いだ。
2017年のル・マン24時間は6月4日(日)の公式テストデーで幕を開け、6月17~18日に決勝レースが行われる。