FIA-F4選手権シリーズの第2大会が、5月3~4日に富士スピードウェイで開催され、第3戦、第4戦ともに宮田莉朋(FTRSスカラシップF4)が優勝を飾っている。
岡山での第1大会では予選で他を圧しながら、決勝では2戦とも苦戦を強いられていた宮田莉朋。その理由がわからず苦悩の表情を浮かべていたものの、富士に舞台を移すと大会初日の専有走行ではトップタイムを記し、2日目には高橋知己(点天&イーストアップwith Field)に僅差でトップを譲るも、すっかり感触を取り戻したよう。
予選では「タイミングが良くて、すごいスリップストリームが効きました」と語る大湯都史樹(HFDP/SRS/コチラレーシング)に、第3戦のポールポジションを奪われるも、宮田はセカンドベストタイムではトップで、第4戦のポールポジションを獲得する。
「前回は(スーパー)GTが走った後のタイヤの使い方だったと思うんですよ、苦戦したのは。たぶん、もう大丈夫だと思います。ここまでの流れは悪くないし、僕はあんまりスリップが使えてないので」と言うあたりに、強い自信が見え隠れした。
また、第3戦は大湯、宮田、高橋、河野駿佑(HubAuto F110)、そして第1戦のウィナー笹原右京(HFDP/SRS/コチラレーシング)の順となったが、このうち高橋と笹原に対し、走路外走行のペナルティとして、3グリッド降格の判定が。
ゴールデンウィークの真っ最中とあって、すでに大観衆の見守るなかで行われた第3戦決勝レースでは、好スタートを切った大湯が1周目だけで1秒もの差をつけ、そのまま逃げ続けることも予想された。だが、3周目に入るとラップタイムで宮田が上回るようになり、5周目には完全にテール・トゥ・ノーズ状態に。
しかし、すぐには仕掛けず、大湯にプレッシャーをかけ続ける。そして、ようやく機は熟したと判断したのは10周目。1コーナーで宮田が前に出るが、大湯も食らいついて離れず。13周目のダンロップコーナーでいったんは前に出るも、次の周の1コーナーで再び抜き返されて、勝負に決着がつく。
「単独でのペースは僕の方が速いのは分かっていたので、序盤に離されても気にならなかったですね。むしろスタートを慎重に行きすぎたので、後ろに抜かれなくて良かったと思ったぐらい。抜かれていたら、また違った展開になっていたでしょうから」と宮田。これでまず今季1勝目をマークする。大湯に続いて3位でゴールは笹原。
「結果論ですけど、降格は痛かったですね。でも、しっかり追い上げて来られたし、ドライバーとしてやるべき仕事がすべてできたので、これが次にもつながるでしょう」と表情には満足げな様子も。
第4戦決勝レースは宮田、大湯、高橋、笹原、そして篠原拓朗(MediaDo ADVICS影山F110)というグリッド順。スタートをまたしても決めて、トップで1コーナーに飛び込むかと思われた大湯だったが、進入で挙動が乱れてコースアウト。宮田がトップにつけて、これに続いたのは篠原と高橋、そして笹原。
だが、1周目のうちに笹原は高橋をかわし、さらに2周目のコカコーラコーナーで篠原がスピンを喫したこともあり、早々に2番手へ躍り出る。勢いに乗る笹原は、4周目のコカコーラコーナーで姿勢を乱した宮田をも捕らえて、ついにトップにも浮上。だが、またしてもすぐに宮田は攻略せず、「まだ後ろとの差がそれほどなかったので、抜きそこなって4台とかのバトルになったら厄介ですから」と。
10周目になって、ようやく宮田は笹原をパス。好都合だったのは、その周のヘアピンで大湯が高橋を抜いていたこと。加えて、11周目の1コーナーで大湯が続いて笹原を抜きに行った間に、確固たるリードを築くこととなったからだ。最後は1秒6の差をつけ、逃げ切り成功。
「1回だけミスしてしまいました。最初の何周かコカコーラコーナーが何か変で、ミドルからしかラインが取れなかったので。その後、抜き返せて2連勝。速さはまだまだですが、まだ伸び代はあると自分でも思うので、この調子で行きたいと思います」と宮田。
一方、「スタート直後の1コーナーは理由が分からないんですが、突然とっちらかってしまって……。チームメイト(笹原)とは同じセットだから、なかなか抜けないし、全体のペースも宮田くんに負けていた。いろんな課題が見つかったので、ひとつひとつ解決していかなければ」と大湯は語る。この結果、宮田はランキングトップに立ち、全戦表彰台に立つ笹原が3ポイント差で続くこととなった。