僅差のスーパーGTでは、圧倒的なポテンシャルの差で勝利をつかむことは難しい。ミスやトラブルを極力しないことこそが重要だ。その意味では、中山も坪井も「勝てるとは思っていなかった」と言うが、今回のJMS P.MU LMcorsa RC F GT3は、それらの“マイナス要素”が極めて少なかったことが勝因と言えるだろう。
「ミスをしないことが重要ですが、ミスをしないクルマであることも、ひとつのポテンシャルだと思います。このクルマからのインフォメーションどおりに走れば、そのとおりに走れる。チームの力もあると思います」と中山は言う。今回はSYNTIUM LMcorsa RC F GT3も決勝では好走をみせており、今後レクサスRC F GT3のポテンシャルは侮れないものになるのは間違いない。
一方、勝てるポテンシャルはありながらも、“ミスやトラブル”があったのがライバルだった。ポールからレースをリードしたグッドスマイル 初音ミク AMGは、タイヤのパンクチャーに泣くことに。GOODSMILE RACING & TeamUKYOの河野高男エンジニアは「原因はまだ不明」だという。
では、もし仮にグッドスマイル 初音ミク AMGのタイヤトラブルがなければ、JMS P.MU LMcorsa RC F GT3と優勝を争う存在だったのだろうか。「レースにタラレバは禁物ですが」と聞いてみると、「良い勝負だったと思う」と語った。
また、惜しい存在だったのは3位に入ったD’station Porscheだ。予選ではスヴェン・ミューラーが四輪脱輪のペナルティをとられてしまい、3番手から14番手へ。決勝でも、序盤8番手まで追い上げながら、藤井誠暢がARTA BMW M6 GT3のバトルの際に、接触を避けようとステアリングを切らざるを得ず、スピン。23番手までポジションを落とし、そこからハイペースで追い上げ3位という結果なのだ。