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NHKの業務委託スタッフは「労働者」、不当労働行為認定…裁判所の判断のポイント

2017年05月04日 10:54  弁護士ドットコム

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NHKと業務委託契約を結んでいる集金スタッフが、労働組合法上の「労働者」に当たるかどうかが争われた訴訟で、東京地裁は4月13日、労働者だと判断する判決を下した。NHKは判決を不服として控訴している。


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ことの発端は2011年、集金スタッフらでつくる「全日本放送受信料労働組合」がNHKに団交を申し入れ、拒否されたことにある。中央労働委員会は2015年、スタッフも労働組合法上の労働者だとして、団交拒否をNHKの不当労働行為と認定。これに対し、NHKは判断の取り消しを求めて、裁判を起こしていた。


NHKは集金スタッフが正職員ではなく、業務委託であることを理由に団交に応じる義務はないと主張していた。どうして、外部のスタッフがNHKの労働者と認められたのだろうか。指宿昭一弁護士に聞いた。


●業務委託でも「労働者」認定は珍しくない

ーーどうして外部スタッフなのに労働者と認められたのか?


雇用契約ではない業務委託契約でも、実質的に見て、委託者の指揮命令の下で働く場合には、労働者と言え、労働基準法等の適用があります。


今回争点になった労働組合法の「労働者」は特に広い概念で、労働基準法上の労働者ではなくても、労働組合法上は労働者であるということがあります。


ーー労働組合法上の労働者にはどんなものが含まれる?


業務委託(個人請負)の人が、労働組合法上の労働者として認められることは珍しくありません。コンビニのオーナーや放送局専属オーケストラの団員、自己所有のコンクリート・ミキサー車で生コンクリート運送業務を行う運転手、僧侶なども労働組合法の「労働者」として認められてきました。


たとえば、プロ野球選手も各球団から業務委託を受けた個人事業主ですが、労働組合法上は労働者です。日本プロ野球選手会という労働組合もあります。


ーー労働者かどうかはどうやって判断される?


労働組合法上の「労働者」にあたるかどうかは、最高裁の判決が示した指標に従って判断されます。その指標は、(1)労務提供者が事業運営に不可欠な労働力として事業組織に組み入れられていたか、(2)労務提供者が相手方の個別の業務の申込み・依頼に応ずべき関係にあったか、(3)契約条件が一方的に決定されていたか、(4)指揮監督下の労務であったか、場所的・時間的拘束の程度、(5)報酬が労務提供の対価であったか、です。


今回の裁判では一定の指揮監督を受けていること、中労委では、契約を一方的に決められていることが決め手になっているようです。


●不当労働行為とは?

ーー今回、どうしてNHKは不当労働行為と認定されたのか?


労働組合による団体交渉の申し入れに対して、会社は正当な理由がなければ拒否することができず、誠実に交渉に応ずる義務があります。


団体交渉を拒否したり、不誠実な交渉をしたりすることは「不当労働行為」として禁止されており、労働委員会は団体交渉に誠実に応ずるように命令をすることができます。


これは本件のように、社外スタッフによる労働組合の場合も、社外スタッフが労働者にあたる場合は同様とされています。


(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
指宿 昭一(いぶすき・しょういち)弁護士
労働組合活動に長く関わり、労働事件(労働者側)と入管事件を専門的に取り扱っている。日本労働弁護団常任幹事。外国人研修生の労働者性を認めた三和サービス事件、精神疾患のある労働者への使用者の配慮義務を認めた日本ニューレット・パッカード事件、歩合給の計算において残業代等を控除することは労基法37条違反かどうかが争われている国際自動車事件などを担当。
事務所名:暁法律事務所
事務所URL:http://www.ak-law.org/