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近づいて高さを感じるレクサスの壁。スーパーGT富士予選で判明したGT-RとNSXの弱点

2017年05月03日 21:43  AUTOSPORT web

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予選2番手に次生自身も驚いたというが、決勝ではレクサスについて行くのが精一杯だとか
大方の予想どおり、スーパーGT第2戦富士のGT500クラスはレクサスが主役となり、その中でZENT CERUMO LC500がポールポジションを獲得した。その一方、大方の予想を大きく外す形で2番手を獲得したのが、ニッサンGT-RのMOTUL AUTECH GT-Rだった。これまで不振に喘いでいたGT-Rに復活の兆しが見えたのか、探った。

 2番手タイムをマークしたMOTUL GT-Rのロニー・クインタレッリが「いいタイムだと思ったけど、2番手だとは思わなかった」と驚けば、チームメイトの松田次生も「僕もびっくりしました(笑)」と話すように、レクサス陣営の間を割ってフロントロウを獲得したMOTUL GT-R。クルマの良い手応えを、次生はギリギリの8番手で通過した予選Q1で感じていた。

「予選Q1で1分28秒6のタイムが出た時に僕がマップを間違えていて、そして硬い方のニュータイヤがあんなにグリップしないと思わなくて(ダンロップコーナーで)飛び出して、少しフラットスポットを作ってしまった。ですので、予選Q2はコンマ3秒くらい上がると思っていたのですが、ロニーがそれよりも上げてくれた(コンマ5秒アップの1分28秒1をマーク)。素晴らしいアタックでした。このタイムは、今のポテンシャルの限界だと思います」と次生。
エンジン面でレクサスに大きな水を空けられていることがうかがえる。実際、モニター上の最高速でも5km/hの差が、2台に見られた。

「たしかに、セクター1が厳しいですね。ドライバーが自分たちで頑張れないところがそこです。今のウチの課題です」と、このウイークポイントをニスモの鈴木豊監督も認める。

 それでも、鈴木監督は「そうは言っても仕方ないので、現状の力でベストを尽くすことだけ考えたいと思います。明日は500kmのレースでウチのメカニックたちの力もあるので、正直、地力から言ったら優勝は厳しいとは思いますが、目標は願わなければ叶いませんので、勝つことを目標に頑張りたいと思います」と決勝への期待を語った。

■実はGT-R以上に厳しいNSX-GT

 ニッサン陣営と同じく、ホンダ陣営もARTA NSX-GTがQ1を突破し、予選8位ながらホンダ陣営のトップを奪った。こちらも明るい兆しが見え始めたかと思われたが……実際には、ニッサン陣営以上に厳しい状況であることが判明した。

「クルマは跳ねるのが収まらず、ブレーキングでは全然リヤがグリップしない。岡山とは全然違う症状が出ています。僕はQ1を通りましたけど、まだまだリヤのグリップは足りていない」と話すのは、ARTAの野尻智紀。

「乗っている間、いろいろなことをしながら、なんとかクルマを前に進めているという感じです。全域に渡って厳しい。セットアップである程度は良くなるかもしれませんが、それでもレクサスのようなペースで走れるとは思えない。明日の決勝は厳しい戦いになると思います」と、悲壮な表情で語る。

 ホンダ陣営の関係者の話を聞く限り、クルマのフィーリングに関しては厳しいコメントが多く、要約すれば「ブレーキングで跳ねる、リヤのグリップが抜ける。それをセットアップで解消しようとするとコーナーでアンダーになる」という、負の連鎖に陥っているという。

 さらには、この一連の症状は「セットアップで解消できる問題ではないのでは」との声を聞くほど、ホンダ陣営はこの富士で大きな課題を突きつけられることになった。

 決勝の優勝争いはどうやら再び、レクサス陣営内の戦いになりそうな気配だが、優勝争いとともに、この富士の決勝はニッサン陣営とホンダ陣営の戦いがどうなるか、今後のGT500クラスのゆくえを占う転機になるのかもしれない。