4月27日に発表された横浜ゴムのモータースポーツ事業専門会社「ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル株式会社」の解散と、新設された「モータースポーツ推進室」の5月1日の発足に合わせて、スーパーGT第2戦富士で横浜ゴムの山石昌孝社長が会見を行い、モータースポーツとの関連強化を語った。
2013年4月に発足した「ヨコハマ・モータースポーツ・インターナショナル株式会社」は競技用のタイヤ開発、供給を軸として、子会社ならではの動きの良さをメリットとして活動していたが、横浜ゴムとして、グローバル活動を視野に入れた活動拡大を目指す上で「モータースポーツ推進室」を発足させ、本社内に機能を戻す形となる。
「横浜ゴムのモータースポーツ活動は今年で60年目を迎えます。弊社は今年で100年を迎えますが、100年の中の60年、モータースポーツに取り組んできた理由は、技術の開発、あるいは宣伝広告活動という会社の方針に沿ったものでした」と、会見の冒頭で述べた山石社長。
「これまでの機能をモータースポーツ推進室が引き継ぎ、メーカーが責任を持ってモータースポーツ活動を行う所存でございます」と、今回の組織変更の意図を説明した。
現在タイヤを供給しているカテゴリーについては大きな変更はないとのことで、今後はモータースポーツ推進室が軸となって、モータースポーツ活動の体制強化と、モータースポーツで培った技術を生産用タイヤに活かすことを積極的に行っていくことになるという。
会見では記者からの質問で、山石社長とともに登壇したモータースポーツ推進室の阿部義朗氏が、話題となっている2018年開催の鈴鹿10時間へのワンメイクタイヤ供給希望などについても希望を述べた。
「鈴鹿10時間はもちろん、我々もターゲットにしたいと思っていますが、まだ未定の部分が多く、あくまで条件面次第です。競合さんがどちらになるのかもわからない状況ですが検討、検証をしながら、それでも手を挙げていきたいと考えています。そのためのモータースポーツ推進室でもあると思います」と阿部氏。
スーパーフォーミュラに昨年から復帰してタイヤ開発技術が大きく向上したことを踏まえ、将来的なフォーミュラカテゴリーへのアプローチについても言葉を残した。
「スーパーフォーミュラを含め、まだまだ組織の対応、体制の強化が必要だと考えています。スーパーフォーミュラもまだ続けて行きますが、その先のターゲットのカテゴリーも当然、さまざまあります。トップのカテゴリー(F1)もターゲットのひとつには入っています。その時々の状況にもよりますが、我々の技術開発の中でももちろん、頭の中にないわけではありません」と将来的なF1へのタイヤ供給希望についても示唆した。
ミシュラン、ブリヂストンが世界的に2大タイヤメーカーとして君臨するなか、横浜ゴムはモータースポーツとともに、ヨーロッパと国内でのシェア拡大、ブランド力強化を目指すことを明らかにし、その中核機能を新設された「モータースポーツ推進室」が担うことになる。
近年、ますますモータースポーツ界で存在感を増しつつある横浜ゴムとモータースポーツ推進室の動きは、今後の日本のモータースポーツ界の動きにも確実に連動していくことになりそうだ。