2017年シーズンのGRCグローバル・ラリークロス選手権がメンフィスで開幕し、2度のタイトル獲得経験を持つ17年王者スコット・スピード(フォルクスワーゲン・ビートル)が開幕戦を制し、通算12勝目をマーク。2位にはチームメイトのタナー・ファウスト(フォルクスワーゲン・ビートル)が入り、フォルクワーゲンのワークス支援を受けるアンドレッティ・オートスポート・ラリークロスチームが幸先の良いワン・ツー・フィニッシュを決めた。
82%のターマック(舗装路)と、18%のグラベル(未舗装路)で構成された新たなトラックを舞台に開催された開幕戦は、予選ヒートから5人の勝者が誕生する混戦に。
金曜プラクティスではワン・ツー・スリーと最速タイムを記録していたホンダ・レッドブル・オルスバーグMSEのシビック・クーペ・タイプRだったが、土曜の予選ヒートに入ると情勢が一転。
アンドレッティのフォルクスワーゲン・ビートルRXスーパーカーや、ロエンブロ・モータースポーツのフォード・フィエスタSTのスティーブ・アルピン、そしてスバル・ラリーチームUSAのクリス・アトキンソン(スバルWRX STI)らに先行を許す苦しい展開に。
ヒート2Aでアトキンソンが自身初となる勝利を挙げると、ヒート3Aでセバスチャン・エリクソンのシビック・タイプRが今季初勝利で一矢報いるも、セミファイナルA、セミファイナルBでは、ともにスピード、ファウストのアンドレッティ勢が制し、10周で争われる日曜のファイナルへと進んだ。
そのスタートでは、今季からアトキンソンのチームメイトとしてスバルに加入したパトリック・サンデル(スバルWRX STI)がオープニングラップで接触からのクラッシュを喫し、レッドフラッグに。
■通算12勝目を挙げたスピードは王者の風格漂うコメント
リスタート後はVWビートルの2台が飛び出し、スピードvsファウストの一騎打ちの展開に。しかし、最後の表彰台となる3番手争いは混迷を極め、フロントロウからのスタートだったシビックのセバスチャン・エリクソンが最初のラップではポジションをキープしたものの、毎ラップごとにポジションを入れ替えながらも、中盤まではチームメイトのルーキー、ミシェル・デヨングが優位をキープ。
しかし、折り返しを過ぎたところでジョーカーラップに飛び込んだアルピンのフィエスタが、シビックに先行することに成功。そのままスピード、ファウスト、アルピンの順でチェッカーとなった。
これでアンドレッティ・ラリークロスは通算4度目のワン・ツーを達成。通算12勝目で、5年連続勝利もマークしたスピードは、「誰もがこのリザルトのために本当にハードに仕事をこなしてきた。僕らは僕らの仕事に集中してきたことが成果につながった」と王者の風格漂うコメント。
対する2位表彰台のファウストも「このトラックは本当に素晴らしかったし、高速の1コーナーでバトルをするのはドライバーにとって最高にシビアだった。今日はスコットが素晴らしい走りを見せたね」と、チームメイトを称えた。
4位、5位にはともにシビック使いのルーキー、デヨング、オリバー・エリクソンのティーンエイジャー2台が続き、ホンダのエースであるセバスチャン・エリクソンと、スバルのアトキンソンがアクシデントにより戦線を離脱している。