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The Idol Formerly Known As LADYBABYが明かす“関係性の変化”「2人でしか2人を守れない」

2017年05月01日 21:13  リアルサウンド

リアルサウンド

The Idol Formerly Known As LADYBABY

 『週刊ヤングジャンプ』の表紙&グラビアに登場するなど、グラドルとしても注目を浴びている金子理江。テレビアニメ『TO BE HERO』(TOKYO MX)の主題歌を担当したガールズバンド「BRATS」のボーカル&ギターとして活躍する黒宮れい。The Idol Formerly Known As LADYBABY(通称LADYBABY)は、この2名からなるアイドルユニットだ。LADYBABYが結成されたのは、2015年3月。同年7月にYouTube上に公開されたデビュー曲「ニッポン饅頭」のミュージックビデオが海を超え拡散。公開4カ月で1000万再生を突破し、ニューヨーク、ロンドンなどで海外公演を行うほど、人気が世界に拡大した。


 2016年11月にはメンバーのレディビアードが脱退。金子と黒宮による現在の2人体制となって、11月にキングレコードよりシングル『参拝!御朱印girl☆』でメジャーデビューを果たした。そんな2人が4月12日、2ndシングル『Pelo』をリリースした。今回は同シングルのこと、2人の関係性のこと、そして今後について、話を聞いた。(岡島紳士)


「『3人体制の時の方が良かった』って言われるのがすっごいイヤで」(黒宮れい)


ーー前回のインタビューはメジャーデビューのタイミングでした。もう2人体制には慣れましたか?


金子理江(以下、金子):慣れましたね。 もう2人っていう感覚しかないかも。3人だったときのことは忘れました。


ーー今回のニューシングルの表題曲「Pelo」は〈なめないで〉〈なめたらヤバイ〉というフレーズが印象的です。


黒宮れい(以下、黒宮):2人体制になってからSNSとかで「女の子2人なんて普通のアイドルじゃん」「3人体制の時の方が良かった」って言われるようになって。ライブすら観てないような人にそういうことを言われるのがすっごいイヤで。Twitterでそのことについて「なめんな」とか言ってたら、作詞家の只野菜摘さんが使って下さったんです。そういう自分たちが思ってたことを詰め込んだ曲になってます。


金子:あと、歌詞には載ってないんですけど、早口で話してる言葉があるんですね。そこはうちらの普段の発言に似てるかなって。


黒宮:ライブだと早口過ぎて聞こえないので、言ってないんです。だからCDでしか聴けません。


金子:「嘘っぽいのってすぐバレるんだよ」とか「かまってちゃんとかどうでもいい」とか。

黒宮:「友達少ないもん」とか。


ーー「なめんな!」という気持ちは普段から強いんですか?


金子:そうですね。


ーーということはなめられることが多い?


金子:なめられることしかないです。たぶんうちらって、ビッグマウスだから。「言葉と行動が釣り合ってない」ってよく言われます。マイナスな言葉を掛けられることが多くて。それに、19歳と16歳で、まだ10代じゃないですか。10代って、基本的には大人になめられると思ってるんですよ。だから「10代だけどちゃんと考えを持って生きてるし」「なめんじゃねえよ」っていう思いを「Pelo」に込めて歌ってます。


ーーそういう言葉ってSNSで掛けられるんですか? それともお客さんと直に接したときに? あるいは仕事の相手にでしょうか?


金子:もう、全体的にですね。


ーーそれは活動してから? それともそれ以前から感じてたことですか?


金子:それ以前から。


ーー表に出る仕事をしてると、それはどんどん増えていきますよね。しょげたりはしないですか?


金子:しますよ。弱いから強がるんです。


ーー「もうダメだ」っていう気持ちにはならない?


金子:なります。


黒宮:毎日なるよね。


金子:でもれいがいるし。2人だから大丈夫。だけど、1人だったら普通に死んでる。


黒宮:うん。


ーーたしかにお互い支え合ってる感じがしますね。メジャーデビューから2人の関係性に変化があったりはしましたか?


黒宮:バリバリありました。仲良くなりました。


金子:昔から仲は良かったけど、今はもうなんかお互いがお互いの一部って感じなの。


黒宮:何も気を使わないよね。


金子:一心同体だよね。


黒宮:毎日電話してる。


金子:仕事で毎日一緒にいるのに、毎晩電話してるの。


黒宮:キショイね、こうやって言うと(笑)。


ーー仲いいですね!


金子:2人でしか2人を守れないもんね。


黒宮:2人で完結する世界に生きてるんです。


ーーリアルな思いがしっかりとこの曲に刻印されているわけですね。


金子:ですね。バッチリです。


ーーMVでは指からレーザービームを出してますね。


金子:西新橋のイタリア街で撮影しました。“破壊”をイメージしてるらしいです。


ーー男性のラップが入ってますね。


金子:外国人ラッパーの方がレコーディングしてくれました。カップリングの「Easter Bunny」のシャウトとは別の方です。


ーー曲調はどうですか?


黒宮:ラップが入ってて最初はLADYBABYっぽくないなって思ったんですけど。2ndシングルからはこれまでに縛られず自分たちの色を出していきたいので、ここで従来のデスボイスからラップに変化したのは正解だったと思います。新たなLADYBABYらしさが出せたなって。


「(大森)靖子ちゃんに全部知られちゃったみたいで、恥ずかしかったです」(黒宮れい)


ーーではカップリングの「LADY BABY BLUE」ですが、これは大森靖子さんによる作詞作曲ですね。金子さんが撮影、編集したMVも話題になりました。


金子:靖子ちゃんはLADYBABYを始める前からうちらを見つけてくれていた存在なので。初めて仕事でしっかり関わることができて、嬉しいです。曲はうちらの気持ちを代弁してくれてるというか、言葉がほんとうちらだなって思います。


黒宮:一番がれいのこと、2番がりえのことについて書いたって聞きました。


金子:歌詞のボリュームは多くないのに、ぜんぜん濃い! ほんとにひとつひとつが大事な言葉で、2人にとってこれから先もほんとに大切な曲になるんだろうなって。


ーー大森さんとは曲について話したりはしましたか?


金子:してないです。作る前に「どういうのがやりたい?」とかは聞いてくれたけど、ほぼ任せた感じです。


黒宮:私は「靖子ちゃんが見た“れいりえ”のイメージでいいよ」って答えた。自分たちが作ったわけじゃないのに、ダイレクトに自分で書いたみたいな曲になってて。全部知られちゃったみたいで、恥ずかしかったです。ヤバイです。


ーー普段から大森さんとはコミュニケーションを取ってるんですか?


黒宮:はい。おうちに遊びに行ったり、ご飯を一緒に食べに行ったり。そこでいろいろ話したりします。


ーーサウンドの印象はどうですか?


黒宮:最初来た靖子ちゃんのデモと、出来上がりは全然違うよね。


金子:うん。でも靖子ちゃんが作ったものなら何でもいい。


黒宮:デモは靖子ちゃんの弾き語りだったから、こんなバンドっぽくなるとは思ってなくて。だから早くバンドセットで歌いたいなって思っています。


ーー特に印象的なフレーズはありますか?


金子:タイトルとサビの〈LADY BABY BLUE〉。グループ名だし、ブルーっていうのは今のうちらが表されてるなって。でも歌詞は全部好き。


黒宮:れいは〈殺されては美しく成ってきたわ〉が、カッコよくて好きです。


ーーその前のフレーズが〈憧れ壊しても〉ですよね。「何度も壊され、再生している」というイメージが自分たちにあるということですか?


金子:そうですね。ずっと殺されてる。


黒宮:そう。殺されたんですよ。


金子:メンバーが1人抜けたのも、ある意味そうだし。


黒宮:アイドルとしてはいろいろあって。


金子:何回も。


黒宮:2人だけで頑張って再生してきたの。


「今回のシングルは、2人の色を出せてるんじゃないかなと思います」(金子理江)


ーーもう一つのカップリング曲「Easter Bunny」はイースター(復活祭)をモチーフにした曲ですよね。


金子:イースターバニーはイースター・エッグを運んで来るウサギのことなんですけど。新体制になって復活したうちらとかけてるところがあると思います。これも只野さんが作詞で。〈復活できる何度でも〉っていう詞があったり。希望の曲です。


ーー「破壊と創造」について書かれた曲ですよね。聴どころは?


金子:〈つかみたい ちょっぴりぶち壊したい ゆるしたい ゆるされたい 伝えたい〉という歌詞が好きです。全部好きだけどね。


黒宮:やっぱ最初のAメロじゃない? 〈復活できる 何度でも 春のように そう、イースターのように 破壊なくして 創造もない 殻を破り また生まれかわる〉。


金子:うちらの気持ちを書いてくれてるよね。


ーー破壊したいという気持ちは強い?


金子:なんか常識に囚われたくないっていうのはありますよね。常識って、人によって違うじゃないですか? それを押し付ける人がたくさんいるから。


ーーこれまでの曲は日本のカルチャーを前面に押し出したものなかりでしたが、今作はそこまで和を押し出してないですよね。


金子:確かに日本文化の発信からは遠いですよね(笑)。


黒宮:もうネタも尽きちゃったのかな(笑)。


金子:でも考えたんだけど、MVは団地(表参道の青山北町団地)で撮影したよね。日本の家ってラビットハウスって言われてるじゃないですか。だから日本の象徴的に団地を使ったのかなって思った。


ーーなるほど。


金子:今回のシングルは、うちらを前面に出してるというか。1stの時はメジャーデビューということで、新体制で真っ白なイメージだったんですけど、今回は2人の色を出せてるんじゃないかなと思います。いい曲が詰まってます。このCDを出せて良かったです。


「海外に行って、パスポート破ったフリした写真撮って、事務所の人に送る(笑)」(金子理江)


ーー「ライブを見ないで何も言わないで欲しい」とさきほど仰ってましたが、2人にとってライブは大きいものですか?


金子:だって同じ場所に来て一緒に何かを共有することって、普通に考えたらありえないじゃないですか。うちらが芸能人じゃなかったら、同じ場所に集まって何かするって、ないと思うし。よーく考えたら、会いに行けるってこと自体、すごいことですよね。何かのきっかけでうちらを見つけてその場に来るっていう巡り合わせもすごいことだし。うちらのために言葉だけじゃなくて、実際に労力を費やしてライブ会場に来てくれると、嬉しいです。「気持ちに応えなきゃ!」ってなる。今の時代、曲だけ聴くのって簡単じゃないですか。YouTubeにMVもあるし。でもライブに行くっていうのは大変だし、海外から来てくれる人もいるし。そういう風に考えたら、ライブは大事だなって思います。


ーー黒宮さんはどうですか?


黒宮:同じです。


金子:2人が思うことは同じです。


黒宮:りえが思うことは、全部れいも思ってます。


金子:ライブでしか生きれない。LADYBABYは。


ーー自分がお客さんとしてアーティストのライブに行くときも、同じような感情を想像しますか?


金子:うん、何か求めてるよね。無の感情で行かないよね。


黒宮:同じ空気を吸いたいとか、ただただ会いたいとか。


金子:そう思えるってなかなかないし。


黒宮:思ってても行動に移すのって難しい。


金子:だいたいみんな口先だけだから。「会いに行くね」より「会えたね」の方が嬉しい。


ーー今後の目標を聞かせて下さい。


黒宮:2人でずっとやっていく。目標を決めずに。


金子:でも夏フェスには出たい。


ーーサマソニとか?


金子:それは無理でしょう!


黒宮:でも出たい!


ーー単純に2人でやりたことはありますか?


黒宮:海外に行きたいよね。日本に疲れちゃった。あったかいとこに行きたい。


金子:ハワイに行きたい。で、パスポート破ったフリした写真撮って、事務所の人に送って。


黒宮:もう辞めますって言って、音信不通になって。


金子:でも実際はパスポートは破ってなくて、バレないように日本に帰る(笑)。


ーーびっくりされるでしょうね(笑)。


金子:先のことはわからないけど。でも変わらず、ずっと同じで、2人でやっていきたいです。
(取材・文=岡島紳士)