4月30日現地時間午後3時、F1ロシアGP決勝のスタートを迎えた。
この日は週末で一番の暑さとなり、気温は25度、路面温度は41度まで上昇。この暑いコンディションは、タイヤのオーバーヒート傾向に苦しむメルセデスAMGにとってさらに厳しい条件となりそうだ。
ストフェル・バンドーンは金曜日の今季5基目のTCとMGU-H投入による15グリッド降格ペナルティで最後尾20番グリッド、そしてカルロス・サインツJr.は前戦バーレーンGPでのランス・ストロールとのクラッシュで科された3グリッド降格ペナルティで14番グリッドからのスタートとなった。
マックス・フェルスタッペンはICEとTC、MGU-Hを予選後に交換しているが、これはスペアとして用意されていたすでに使用済みのコンポーネントだ。
スーパーソフトを履いたザウバー勢とバンドーン以外は全車がウルトラソフトでスタートに臨んだ。フェルナンド・アロンソはフォーメーションラップでERSの発電に問題を抱え、ステアリング上のボタン操作でリセットを試みたが最終コーナー手前で止まってしまった。
これによってスタートはディレイとなり、エクストラフォーメーションラップが行なわれて決勝は1周減算の52周で争われることになった。
スタートでポールポジションのセバスチャン・ベッテルはまずまずの発進加速を見せたが、ターン1の先のストレート伸びで3番グリッドのバルテリ・ボッタスが優り、ターン2の手前で前に出て首位を奪いとった。
2番グリッドのキミ・ライコネンはスタートが鈍く2台のメルセデスAMG勢に前に行かれてしまったが、逆にターン2までにルイス・ハミルトンのインに飛び込んで3番手を奪い返した。
後方ではジョリオン・パーマーがロマン・グロージャンにヒットし、弾き飛ばされたグロージャンはウォールにクラッシュ。
パーマーもフロントを壊して2台ともにその場でリタイアとなった。しかし、そもそもの原因はターン2入口でインのグロージャンがパーマーに接触したことにある。また、ターン5ではランス・ストロールが単独スピンで14位まで後退。
これでセーフティカーが導入された。バンドーンとマーカス・エリクソンは早速ピットインしてウルトラソフトに履き替える。
翌周にはパスカル・ウェーレインもこれに加わった。バンドーンとケビン・マグヌッセンにはターン2のトラックリミット違反で5秒加算ペナルティを科されたが、マグヌッセンはカットした後にバックオフしたと主張し「チャーリーに言ってくれ、それは正しい判断じゃない」と抗議する。
4周目にレースは再開となり、首位のボッタスは上手いリスタートで後続ベッテル以下を大きく引き離していく。ボッタスは1周で2秒のギャップを築き、その差をじわじわと広げていく。
4位を走行するハミルトンは僚友ボッタスより0.5秒ほど遅いペースで、無線でパワー低下を訴える。ハミルトンのペースは悪くないが、マシンのオーバーヒート傾向に苦しんでいる。5周目にはダニエル・リカルドが右リヤブレーキのトラブルで白煙を上げながらスロー走行でピットに戻ってリタイアとなった。
2強チームのトップ4以下は5位フェルスタッペン、6位マッサ、7位ペレス、8位オコン、9位ヒュルケンベルグ、10位マグヌッセンという順になる。
バンドーンはザウバー勢2台の前に出て単独走行となるが、前のストロールにはついていけない。
コース上では大きな動きはないままレースは展開し、ボッタスは快調に飛ばして20周で5秒のギャップを2位ベッテルに付ける。その5秒後方にライコネン、さらに3秒離れてハミルトンという位置関係。
21周目にマッサとマグヌッセン、クビアトらがピットインし、スーパーソフトに交換してこのレースで一度切りのピットストップを終える。
20周目を過ぎてピットストップが近付いて来たところで、ボッタスが周回遅れに引っかかる一方で、2位ベッテルはペースアップしてボッタスとのギャップを縮めていき、その差は2.5秒で詰まっていく。
27周目にボッタスがピットインしてスーパーソフトに履き替えるが、ベッテルはステイアウト。29周目にライコネン、30周目にハミルトンがピットインし、ベッテルは34周目まで引っ張ってピットに向かう。
結果、首位ボッタスで変わらず4秒後方に2位ベッテル、9秒後方に3位ライコネン、4位ハミルトンはトラフィックに引っかかる間にタイムロスし首位から23秒もの差を付けられた。
5位フェルスタッペンは、ハミルトンからさらに21秒後方と大きく離れている。ヒュルケンベルグがスタートからウルトラソフトのまま41周目までノンストップで引っ張るが、フェルスタッペンの15秒後方にいた実質6位のマッサは42周目にピットインし9位まで後退してしまう。
これでペレスが6位、オコンが7位とフォース・インディア勢が順位を上げた。
2位ベッテルは、首位ボッタスより0.3~0.5秒速いペースで周回を重ね、40周目を迎える頃には差が1.5秒前後にまで詰まってきた。
しかし、メルセデスAMGは2本のストレートでオーバーテイクボタンを早めに押すことを許可し、ボッタスは再びベッテルとのギャップを2秒にまで広げるが、ベッテルもさらにペースを上げてトップ2台は一進一退の攻防になる。
ボッタスはDRSが使える1秒以内には入れさせないが、50周目についに両者のギャップは0.9秒となりベッテルがDRSを使う。
最終ラップにはその差は0.7秒にまで縮まるが、ターン2手前で周回遅れのマッサを処理したボッタスに対し、ベッテルはターン3でマッサに引っかかってしまい万事休す。
結局ボッタス攻略はならず、ボッタスがメルセデスAMG加入4戦目にして自身初優勝を飾った。ベッテルは2位、3位ライコネン、ハミルトンは4位に終わった。