2017年04月30日 10:04 弁護士ドットコム
スタバでコーヒーを飲みながら、リラックスしながら仕事に励む。そんなライフスタイルを実現している人もいるだろう。ただ、ちょっと休憩したい人にとっては、あまりに長居する客がいると、自分の席が確保できなくなり、迷惑な話かもしれない。
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ツイッターでは、アメリカのスタバで、iMacを持ち込む人も多いという投稿も流れており、中にはプリンターを持参する強者までいるそうだ。ただ、スタバを職場化すればするほど、長居する可能性も高くなるだろう。
もし日本で、スタバを長時間占拠した場合、どんな問題に発展する可能性があるのか。田村ゆかり弁護士に聞いた。
「基本的には、ドリンクなど、注文をしておけば、長時間店内に居続けることができると考えます」
このように田村弁護士は述べる。なぜだろうか。
「ドリンクの料金の中には、飲み物の料金だけでなく、客席・テーブルやトイレなど、店の設備を利用する対価も含まれていると考えられるからです。
また、カフェですので、食事をするレストランと違って、『場所代』としての意味合いが強いと言えるでしょう。もし、長時間居続けても、過度に長いとは言えないと思います」
限度はないのだろうか。
「仕事が終わらないからと、営業時間を過ぎてもいつまでも帰ってくれないようなことがあれば、店側も困りますよね。そのように極端な場合は、店側も退去を求めると思われます。
そして、もし店長が退去を求めたにもかかわらず居続ければ、不退去罪(刑法130条後段、3年以下の懲役または10万円以下の罰金)に当たる可能性があります。
また、たとえば長時間居続けることで悪臭を放つようになり、そのせいで他の客が入らなくなったような場合であれば、店の営業を妨害したとして、損害賠償(民法709条)を請求される可能性があります」
デスクトップPCのような大きな仕事道具を持ち込んだ場合はどうなるのだろうか。
「自分の客席の範囲内であれば、デスクトップPCのような大きな仕事道具でも、ドリンク代に含まれる『場所代』のうちと言えるだろうと思います。ただ、客用のコンセントがないにもかかわらず、店の承諾を得ずに店内のコンセントを勝手に利用した場合や、通路など客席の範囲を超えて物を置いた場合には、店側から退去を求められることもありえます」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
田村 ゆかり(たむら・ゆかり)弁護士
沖縄県那覇市において、でいご法律事務所を運営。平成26年度沖縄弁護士会理事。同年度沖縄県包括外部監査補助者。経営革新等支援機関
事務所名:でいご法律事務所
事務所URL:http://www.deigo-law.com/