F1シーズンを転戦していると普段見かけない人との出会いがある。そんな人に、「あなたは何しに、レースに来たのか?」を尋ねてみる特別企画。今回は、毎レース見かけるセバスチャン・ベッテルだ。なぜベッテルか?それは……
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ロシアGPの初日にトップタイムをマークし、好調なセバスチャン・ベッテル。セッション開始直前にチームのホスピタリティハウスを出て、ガレージへ向かう姿を撮ろうと、フェラーリのホスピタリティハウスの向かい側で待っていた。
数年前から、チームのホスピタリティハウス(ヨーロッパラウンドではモーターホーム)はガレージの真裏ではなく、あえてガレージから離れた場所に設置されるようになった。
理由はホスピタリティハウスからガレージまでの距離を離すことで、ドライバーのメディアへの露出する時間を増やそうという試みだ。
したがって、筆者が待っていた場所はフェラーリのホスピタリティハウスの向かいだが、そこはフェラーリのガレージではなく、レッドブルのガレージだった。程なくして、ベッテルがホスピタリティハウスのドアを開けて登場。目の前を歩く姿を流し撮りしようとカメラを構えていたら、なんと筆者の方向へ向かってくるではないか!! しかも、なぜかカメラ目線。
ちょっと、待った!! ここはレッドブル。あなたは何をしに? と声をかける間もなく、ベッテルは通り過ぎていく。レッドブルのセキュリティスタッフに「こっちじゃないよ」と言われて初めて、気がついたようで、慌てて方向転換していた。
フェラーリに移籍して3年目だけど、ベッテルでも間違えるくらいだから、今年移籍したニコ・ヒュルケンベルグやケビン・マグヌッセンあたりは見えないところで、結構間違えている可能性はある。
さて、ベッテルの写真を見ていて、気がついたことがある。それはベッテルだけシューズがほかのドライバーと違うことだ。ほかのプーマ・ユーザーはくるぶしあたりまでの高さのハイカットシューズだが、ベッテルのシューズは足首全体を覆うベリーハイカットなのである。
そこでプーマの広報を訪ねてみたが、「ノー・コメント」と教えてくれなかった。そこで、レース関係に聞いてみると「これは耐火性の特殊な繊維で作られたものだという。縫い目がないため、シューズというよりは靴下に近いイメージなので、レーシングソックスと呼ばれている」という。今回、ロシアGP前にようやくFIAによる認証が下りたので、このロシアGPが初登場となった。
初日総合トップタイムの影には、わずか135gというF1界最軽量シューズによる軽量化も貢献していたのである。