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ヤマト運輸、宅急便年間8千万減目指す…アマゾンなど大口顧客との交渉も進める

2017年04月28日 21:04  弁護士ドットコム

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ヤマトHDは4月28日、都内で記者会見を開き、2017年度の宅配便個数を前年度から8千万個(約4.3%)減らすなどの労働環境改善策を発表した。ヤマトHDの山内雅喜社長は、「現場に目が行き届かなかったことで、多くの社員に多大な負担を強いていた」「労働時間の管理が万全ではなかったことに大いに反省している」と謝罪した。


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今回、ヤマトが示した対策は、(1)2017年度の宅配便総量を前年度比8千万個減の17.9億個程度にする、(2)労働時間の管理を入退館管理に一本化、(3)昼休憩の確保、など。


ただし、17.9億個という数字は、2015年度の17.3億個を上回っており、労働環境の改善にどれだけの効果があるかは不透明だ。朝日新聞の記者から、「8千万個の減少で十分なのか」と問われたヤマト運輸の長尾裕社長は、「第一段階の数字だ。大口の客を対象に、(荷物量抑制の)交渉を進めている」と答えるにとどまった。大口の中には、Amazonも含まれているという。


会見では、ヤマト運輸がとっている1カ月変形労働時間制についても質問が飛んだ。変形労働時間制が認められなければ、190億円と発表している社員への未払い残業代が増える可能性がある。これに対し、ヤマトHDの山内社長は、「今の運営管理の仕方で問題がないと認識している」と言い切った。


●潜入記者・横田氏は「役員らの処分、不十分ではないか」

ヤマトは会見当日、山内HD社長を減俸6カ月(月額報酬の3分の1)とするなど、役員の処分を発表している。ヤマト運輸に潜入取材したこともあるジャーナリストの横田増生氏は会見出席後、次のように感想を述べていた。


「厚労省が発表している、全企業のサービス残業代の総額は年間100億円程度(是正勧告を受け、支払額が合計100万円以上になった場合のみをカウント)。ヤマトは2年分で190億円だから、1社で全企業に匹敵することになる。それにもかかわらず、経営陣の処分が減俸だけというのは不十分ではないか」


(弁護士ドットコムニュース)