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椎名林檎、トータス松本とのデュエットで表した“銀座の街” 「目抜き通り」を堂々と歩く存在に

2017年04月28日 19:32  リアルサウンド

リアルサウンド

椎名林檎とトータス松本「目抜き通り」

 椎名林檎がトータス松本(ウルフルズ)とデュエットを披露している新曲「目抜き通り」。本日4月28日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)にも出演し、同曲を歌唱する。


動画はこちら。


 「目抜き通り」は、先日銀座にオープンした商業施設GINZA SIXのテーマソングだ。「NEW LUXURYを世界に向けて発信する」をコンセプトとして掲げた同施設。椎名林檎は、楽曲を担当するにあたりトータス松本とのデュエットを希望、オファーが成立してから制作をスタートしたという。YouTubeで公開されているインタビュームービーでは、東京や銀座について、「何者かわからない者同士がひしめき合っている街」というイメージを持ち、その観点から曲を書き進めたと明かしている。


 「目抜き通り」は、ピアノや金管楽器、弦楽器も含むビックバンド編成によるゴージャスなサウンドに仕上がっている。スウィング感の強いリズムや、軽快なタッチによる流麗なピアノソロにはジャズの要素も感じられる、洗練された上質なポップミュージックである。また、椎名林檎とトータス松本のデュエットの相性の良さも注目ポイントだ。これまでも、浮雲(「長く短い祭り」)や向井秀徳(「神様、仏様」)をはじめとした男性アーティストとも共演してきたが、その中でトータス松本は、もっとも大衆的な(まさに“目抜き通り”という言葉が似合う)シンガーとも言えるだろう。声質の違うふたりの歌声が絶妙に寄り添いあい、生き生きとした華やかさを生んでいる。


 ふたりも出演しているスペシャルムービーも、銀座を舞台にしたミュージカル風だ。そして、前述の「何者かわからない者同士がひしめき合っている街」という椎名の言葉どおり、出演者の国籍も様々。“日本らしさ”の追求というよりは、現代の日本を象徴するような、様々な文脈が集合して生まれた独自の文化が表現されているように思う。


 「目抜き通り」というタイトルを聞いて、筆者がまず思い出したのが、『日出処』のリリース時のインタビューの発言だった(参考:http://sp.universal-music.co.jp/ringo/sunny/liner.html)。この頃から、椎名林檎にとって「目抜き通り」というのは、ひとつの大切なテーマとなっていた。前述のインタビュームービーでは、以下のようにも話している。


「大事にしたかったのは『目抜き通り』という言葉。よくたとえで用いますけど、『目抜き通りでちゃんと勝負をしたい』とか。そういう精神世界というか、自分たちの“人間としての成長”を喜びたいということですね。そういう気持ちをみなさんと共有できるような曲にしつつ、それが銀座を象徴するような曲になったらいいなという気持ちでした」


 その言葉のとおり、近年、椎名林檎は“目抜き通り”を行くような活動が増えている。その最たる例は、クリエーティブスーパーバイザー/音楽監督としてプロデューサーを務めた2016年夏のリオオリンピックの閉会式『トーキョーショー』だ。今回のGINZA SIXも含め、「日本を世界に向けて発信する」というテーマに関わることが続いている。デビュー当時は、どちらかというとアンダーグラウンド色の強い印象もあった椎名林檎。しかし、2017年の今、椎名林檎は堂々と“目抜き通り”を歩く存在となっている。果たして、その道はどこに続いているのだろうか。これまでの様々なプロデュース業の集大成とも言えるような、さらなる大きなプロジェクトへの参加も、大いに期待したいところだ。(文=若田悠希)