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矢野顕子×上原ひろみ、Mステで「ラーメンたべたい」披露 凄腕ピアノ弾き2人の“音楽の楽しみ方”

2017年04月28日 19:22  リアルサウンド

リアルサウンド

矢野顕子×上原ひろみ『ラーメンな女たち -LIVE IN TOKYO-』

 本日4月28日、矢野顕子×上原ひろみが『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演し、「ラーメンたべたい」を披露する。


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 1970年代にデビューしYMOらと共に活動、近年では若手トラックメイカーを迎えて楽曲を制作するなど、常に新しいサウンドを生み出してきた矢野顕子。そして、世界中のジャズフェスティバルに出演し、2016年に発表した『SPARK』が、全米ビルボード・ジャズ・チャートで日本人にして初の1位を獲得した上原ひろみ。2004年のNHKの番組での初共演以降も、互いの作品にゲストとして招くなど、関係性を深めてきた。そして今年3月には、矢野のデビュー40周年記念したレコーディングライブの音源をパッケージ化した『ラーメンな女たち -LIVE IN TOKYO-』をリリースしている。ふたりのコラボレーションの歴史やその魅力について、現代ジャズのガイドブック『Jazz The New Chapter』の監修も務める音楽評論家・柳樂光隆氏に話を訊いた。


「ふたりは現在ツアーも回っていますが、基本的には上原さんがアレンジを担当し、それを矢野さんと練習してライブで披露しています。大半は、音が譜面にしっかり起こされており、パズルを組み合わせるように、ピアノの音が綺麗にはまりながら曲が展開していく。ふたりの息はあっていて、コンビネーションが非常に良いです。ただ、譜面に起こしている部分だけではなく、即興で自由に展開していく部分もあります。即興演奏に関して、上原さんはまったく手を抜かない、むしろ煽っていくタイプなので、矢野さんもピアノはもちろん、時にはスキャットを使うなど声を楽器のようにして使える手を全部使って対抗していて、とてもスリリングです。ふたりが初めて共演したのは2004年ですが、その関係性はさらに濃くなっているのではないでしょうか。前作(2011年『Get Together ~LIVE IN TOKYO~』)と比較しても、今回のアルバムでは、同じ曲でもアレンジがまったく変わっていたり、より多様なチャレンジをしている。ふたりとも国内外の一流アーティストと共演していますが、このコラボレーションには、また違った刺激があるのではないでしょうか」


 同番組で披露する楽曲「ラーメンたべたい」は、矢野顕子のオリジナル曲で、1984年にリリースしたアルバム『オーエス オーエス』に収録されている。30年以上前に発表された同曲は、これまでもさまざまなミュージシャンによってカバーされてきた、矢野顕子の人気曲のひとつでもある。


「原曲の『ラーメンたべたい』は、坂本龍一が共同プロデューサーとして関わっており、YMOのメンバーも演奏に加わった楽曲です。打ち込みの印象が強く、初期のYMOのテクノポップを彷彿とさせます。今回の曲は、その打ち込み感を生演奏に置き換えているアレンジでありながらも、もっと盛り上がれるような、感情の起伏も感じられます。曲名の通り、矢野さんは、その時に“どのくらいラーメンを食べたいか”という気分によって、その場で歌詞を変えることもあるのですが、それに対し、上原さんが明らかに笑いをこらえている顔をしているんです。超一流のミュージシャン同士が、演奏する喜びを全面に出している、生演奏、ライブならではの楽しさがある楽曲です」


 最後に、同氏はMステ出演について、こう期待を述べた。


「醍醐味は、カメラの前で矢野さんがいつもと違うアクションを起こし、それに上原さんがどう返すのか、という点ではないでしょうか。矢野さんは歌の力がとても強く、そこに上原さんが加わるとエネルギーがすごいんです。それでも、ただエネルギッシュというだけでなく、考え抜かれた編曲によって音楽的にしっかり成立している。そのふたりの凄味や興奮をぜひ味わってほしいですね。また、上原さんはオスカー・ピーターソンやエロル・ガーナーなど、50年代から活躍しているジャズピアニストに影響を受けており、タモリさんもトラディショナルなジャズ好き。以前『笑っていいとも!』に出演した際もコアなトークを繰り広げていましたが、今回のMステもトーク部分や演奏後のタモリさんの反応も、個人的には楽しみにしています」


 現在も、矢野顕子と上原ひろみは全国ツアーの真っ最中で、今回のMステはその合間を縫っての出演となる。世界を舞台に活躍する彼女たちによる生演奏ならではの、即興性溢れるパフォーマンスを楽しむことができそうだ。(文=若田悠希)