4月28日、現地時間の午前11時からF1ロシアGP最初のセッションとなるFP1が行なわれた。週の頭には厳しい冷え込みを見せたソチだが、木曜からは快晴で昼間は強い陽射しが降り注いで暑いほどの陽気になる。FP1も気温19度、路面温度33度というコンディションで始まった。この日も快晴に恵まれ、FP1の降水確率は0%となっている。
まずは各車がインストレーションチェックを行ない、マクラーレン・ホンダはストフェル・バンドーン車に大がかりな気流センサーを搭載してデータ収集。ルノーは地元ロシア出身のセルゲイ・シロトキンをニコ・ヒュルケンベルグに代えて起用してきた。
バンドーンはGP2、エステバン・オコンはGP3で走行経験があるため、ソチの走行が初めてなのは20人の中でランス・ストロールただ一人。シロトキンは昨年ルノー、2014年にザウバーで走行している。
しかし、開始から僅か11分でシロトキンはターン2イン側にストップ。「エンジンに何か起きた」と無線で報告してマシンを止め、エンジニアから「MGU-Kでの再始動をトライする」とボタン操作手順を伝えられるが、エンジン再始動上手く行かずに時間切れでマーシャルにウォールの外へと押し出されてしまった。
普段はサーキットとして使用されることが少ない半公道サーキットで、サポートレースも1つしかないため路面コンディションはかなりグリーン。それでも最初の40分間のみに使用が許されるFP1用のタイヤを使って各車が走行を重ねていく。
数々の問題を抱えたブレンボに代えてカーボンインダストリーズ製のブレーキをトライしているハースは、冷却状況が想定と違ったのか冷却ダクトのテーピングを外すために緊急ピットインする場面もあった。
バルテリ・ボッタスやダニエル・リカルドらが逆バンクになっているターン14で曲がりきれずにワイドになり、あわやウォールに接触という場面も。バックストレートが長く、フロントタイヤが冷えてグリップを失ってしまう傾向が見て取れる。
路面コンディションはまだまだ良くなっていないようで、最初の40分が終わると上位勢のドライバーたちはタイヤを無駄にしないよう、コクピットから降りて路面コンディションの向上を待つ。
経験を積みたいストロール、マシンを確認したいケビン・マグヌッセンと、フォース・インディア勢だけがコース上を周回するが、開幕3戦で満足のいくマシンセットアップを見いだせなかったキミ・ライコネンもこれに加わる。マクラーレン・ホンダ勢ではバンドーンがコースインし、アロンソはガレージで待機する。セッション開始から1時間を過ぎてメルセデスAMG勢、トロロッソ勢、ルノー勢を除く全車が走行を開始。
その矢先、12時5分にターン2手前のストレートエンドでオコンのリヤカウルが外れて破片が飛び散り、その処理のために赤旗が提示される。すぐに路面は清掃されて12時9分にセッション再開。
ハースとザウバー以外の各車が走行。全車がスーパーソフトで走行する中、メルセデスAMG勢だけはスーパーソフトでの1ランの後にソフトタイヤで連続周回を重ねる。12時17分にはセバスチャン・ベッテルがターン16の出口でリヤが流れてスピン。しかしマシンにダメージはなくそのままピットインして走行を継続した。
セッションが残り5分となったところでバンドーンが「ノーパワー!」と訴えてピットイン。詳細は明らかになっていないが、ピットガレージまで、まずまずのペースを保ったまま自走で戻ったところを見ると、バーレーンGPで発生したMGU-Hのような深刻なトラブルではないようだ。
セッションが終了し、トップタイムはライコネンで1分36秒074。すでに昨年のFP1のタイム1分38秒127を2秒以上も上回ってきた。メルセデスAMG勢が2位・3位で続き、マックス・フェルスタッペンが4位、途中スピンを喫したベッテルはマシンの異常を訴え、トップから1.156秒落ちの5位となった。
6位リカルドの後ろには、0.1秒差でセルジオ・ペレスが入り、ウイリアムズ勢に0.5秒差を付けた。マクラーレン・ホンダ勢はアロンソが2.739秒差の13位、バンドーンが3.467秒差の17位となっている。