シトロエンからWRC世界ラリー選手権に参戦しているクリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)はポイントランキングの順位ではなく、ひとつでも多くの勝利を掴むことを優先すると語った。
チームのエースドライバーであるミークは、3月の第3戦メキシコこそ優勝したものの、第1~2戦、第4戦ではデイリタイアしており、現在ポイントランキング7番手。トップのセバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)とは61点差をつけられている。
第1戦モンテカルロ、第2戦スウェーデンではチーム全体としても苦戦を強いられたが、ミークは第4戦ツール・ド・コルスでは速さを披露。エンジントラブルでリタイアするまで、総合首位につけていた。
ミークは「マシンのペースには自信がある。しかし、ここまでの4戦中3戦でノーポイントに終わり、ランキング7番手につけている状態では、波に乗っているとは言い難い」と現状を表現する。
「シーズン開幕前には戦略も立てていたし、(チャンピオン獲得に向けた)プランも複数練っていた。しかし、どれも役に立たなくなってしまったよ」
「今は戦略など考えず、ひとつでも多くのラリーで勝つことだけを考えている」
■好調若手のブリーン「少し現実離れした気分」
2017年のWRCでは、ポイントランキングが競技初日の出走順に直結するため、特にグラベル(未舗装路)ラリーで、ミークはライバルに比べタイムを出しやすい後方からスタートすることになる。
加えて、4月27日に開幕した第5戦アルゼンティーナは、2015年に自身初のWRC勝利を飾ったイベントでもある。
そのためミークも「勝利を目指したいね。周囲からも、そう期待されている」としたものの、簡単な戦いではないと続けた。
「このラリー(ラリー・アルゼンティーナ)では繊細な走りが求められる」
「コース上に岩が隠れているトリッキーなイベントで、あっという間にリタイアに追いやられることもある」
「こういったトラップに、簡単に引っかかってしまいがちなんだ」
このラリー・アルゼンティーナは、ミークのチームメイトであるクレイグ・ブリーンにとっては、ヨーロッパ圏外で出場する初めてのイベントでもある。
ブリーンは「まったく未経験のラリーに挑むのは数年ぶり。普段以上に入念に準備を整えてきた」と語った。
「それにWRカーで、ここまでラフなイベントに出場するのも初めてだから、かなりトリッキーな戦いを強いられるだろうね」
「とくに(SSを)再走するときは路面がさらに荒れているはず。そういったシチュエーションで、マシンがどういった挙動を示すのか頭に叩き込む必要がある」
なお、ブリーンは今季参戦したWRC3戦すべてでポイントを獲得。ランキングでもミークと6点差で6番手につけている。
「ここまで順調に戦えていると、少し現実離れした気持ちになる」とブリーン。
「しかし、今週のラリー・アルゼンティーナは僕にとってもっともタフな戦いになるはず。しっかり現状を見極めて戦うつもりだ」