2017年04月27日 17:04 弁護士ドットコム
「私たちは110年待ちました。もうこれ以上待つことはできません」。性犯罪被害の当事者・支援者らでつくる4つの市民団体が4月27日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開き、性犯罪に関する刑法改正案の今国会での成立を訴えた。
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現行刑法は、明治40年(1907年)に成立し、翌年に施行された。今国会には改正案が提出されており、成立すれば110年ぶりの大幅改正となる。具体的な内容は、(1)強姦罪などの法定刑の下限引き上げ、(2)強姦罪などを非親告罪化にする、など性犯罪の厳罰化だ。しかし、共謀罪法案の審議が先に行われることになったため、今国会中の成立が危ぶまれている。
会見に出席した、性犯罪と刑法を考える当事者の会の山本潤代表(43)は、「私たちをこれ以上、待たせないでほしい」と強調した。山本代表自身も、13歳のときから約7年間にわたり、実の父親から性的虐待を受けてきたという。
刑法改正案には、親など「監護者」からのわいせつ行為を罰する「監護者わいせつ罪」の新設も盛り込まれている。山本代表は、「もし性犯罪の規定が早く変わっていれば、私は訴えることができた」として、改正案を早期に成立させることで、防げる被害もあると話した。
一方で、山本代表は改正案について、「私たちは『厳罰化』とは呼べないと思っている」とも述べた。改正案の強姦罪(強制性交等罪)の部分には、「暴行または脅迫を用いて」という要件が残ったままになっているからだ。
山本代表によると、強姦事件では、恐怖のあまり体が動かなくなってしまうことが多いのに、裁判では抵抗がないと暴行・脅迫が認められず、「同意」があったとみなされることがあるそうだ。また、暴行・脅迫が要件だと、教師や上司など目上からの被害を罰することが難しいという。
山本代表らは、改正案の早期成立とともに、「諸外国では『同意に基づかず』が強姦罪の成立要件になっている。次の改正につながる議論をしてほしい」と十分な審議も求めている。
(弁護士ドットコムニュース)