元F1ドライバー、ルーベンス・バリチェロやリカルド・ゾンタ、アントニオ・ピッツォニアなど豪華なドライバーラインアップが参戦するブラジルの人気ツーリングカー選手権『ストックカー・ブラジル』の第2戦が、南部ポルト・アレグレにほど近いアウトドローモ・ベロパークで開催され、レース1ではシェルVパワー・レーシングのゾンタがチームメイトの道連れとなりクラッシュ。レース2ではピッツォニアがセーフティカー導入の引き金となり、モラルハザードの警告を受けるなど、大暴れの週末となった。
レース1は、予選最速を記録しポールポジションを獲得したイピランガ・レーシングのチアゴ・カミーロが、ホールショットを決め先頭で1コーナーを制すると、シリーズタイトル5回の“帝王”カカ・ブエノと、元レッドブルJr.の実力派、リカルド・マウリシオが続く展開に。
しかし、直後の左コーナーとなるターン2で、中団でバトルを展開していたアッティラ・アブレウのシェルVパワー・レーシングが、ビトー・ガンツのマシンをインに押しやり、ガンツがグラベルでコントロールを喪失。そのまま右向きにスピンモードへと陥ったマシンはアブレウのシボレーを弾き出すと、一番アウト側に並んでいたゾンタのマシンに2台そろってヒット。
これでゾンタは左フロントを破損しコントロール不能となり、バリアへ直進してストップ。この同士討ちにより、いきなりのセーフティカー(SC)出動の事態となる。
リスタート後、レースは最初のピットストップ・ウインドウまでこう着状態が続いたが、給油が一巡した中盤にふたたびアクシデントが発生。
30号車のブラウ・モータースポーツ、セザール・ラモスと、ルーベンス・バリチェロのチームメイトであるシリーズ唯一の女性ドライバー、ビア・フィゲレイドがクラッシュし、このレース2度目のSCランに。
このリスタートでマージン消滅のチャンスを得た“帝王”は、リスタートで先頭カミーロに猛烈なチャージをみせるも、見事なディフェンスをみせたカミーロがそのままトップチェッカー。2位ブエノ、3位マウリシオの順位でフィニッシュとなった。
■レース2も大荒れ。原因となったピッツォニアは次戦降格処分
「静かな勝利になったけど、セーフティカー導入でどうなることかと思ったよ。プラクティスのときにダメージを受けていたショックアブソーバーが不調をきたし始めていたし、なんとか勝ててよかった」とカミーロ。
これでイピランガ・レーシングとカミーロはベロパーク通算6勝と、このトラックで無類の強さをみせている。
「もちろん、ここでまだまだレースが行われるわけだし、秘密を教えるわけにはいかないけど、このカテゴリーのドライバーはみんなセットアップで違いを生み出そうと苦心している。僕らの持っている“レシピ”は、ここで効果的に機能しているのは間違いないね」
続くレース2もアクシデント多発で、ポジションがめまぐるしく入れ替わる展開に。そんななか、強豪シムド・レーシングのフェリペ・フラーガが、最初のピットストップでガブリエル・カサグランデを逆転し首位浮上。しかし、その直後にまたも重大アクシデントが発生する。
1コーナーでバトルを演じていたピッツォニアと、RCMトゥカ・ロチェが接触し、アウト側のピッツォニアがコース外へ弾かれスピン。そのまま2コーナーを横切り3コーナー手前のレコードライン上でマシンはストップした。
しかし、車列が途切れない状況のなか、再スタートを切ろうとしたピッツォニアに、レーシングスピードの12号車、フルタイム・アカデミーのルーカス・フォレスティが側面衝突。そこにフルタイム・チームのサテライト組2台も絡む多重クラッシュとなり、SCが出動。
自力でマシンから脱出したフォレスティだが、足を負傷しており、メディカルチームによりすぐに救急搬送が行われた。
このアクシデントに対し、スチュワードはピッツォニアにペナルティの判断を下し、次戦第3戦サンタクルスのレース1を最後尾グリッド降格の処分とした。
結局レースは再開後もそのままのポジションでチェッカーとなり、優勝はフラーガ。2位にバルデノ・ブリトー、3位にマルコス・ゴメスが入った。
一方、フルタイム・スポーツのエースであるルーベンス・バリチェロはレース1を7位。レース2を5位と、連続シングルフィニッシュで終えている。