レッドブルF1チームのマックス・フェルスタッペンは、2017年シーズンはオーバーテイクを実行するのが昨年までより難しくなったが、これまでよりも楽しめていると語った。
今シーズンに登場した新世代F1マシンはダウンフォースが大幅に増加しており、コーナリング速度の向上とブレーキング距離の短縮をもたらしたが、追い抜きはより一層難しくなっている。
下の表は2017年シーズン開幕後3戦でのオーバーテイク回数を、2016年の同時期と比べたものだが、オーバーテイクの回数が減るのではないかという懸念が現実のものになっている。
■シーズン序盤3戦でのオーバーテイク回数
グランプリ2016年2017年増減率オーストラリアGP26回2回-92.3%中国GP128回31回-75.8%バーレーンGP66回32回-51.5%
※完全なフライングラップ中に順位を上げ(オープニングラップ中は含まない)、その周の終わりのフィニッシュラインを越えるまでその順位を維持した場合にオーバーテイクが行われたとみなす
2016年の中国GPはルイス・ハミルトンがグリッド後方からスタートしたことと、同年中で最多となる66回のピットストップが行われたために例外的な数字になってはいるものの、差は歴然としている。昨シーズン最初の3戦終了後、各グランプリでの平均オーバーテイク回数は73回だったが、今シーズンこれまでの平均は21回に留まる。
オーバーテイクを促進するDRSが導入された2011年、追い抜きの回数は452回からほぼ2倍の821回へと増加した。これは1990年代後半から2000年代初頭のシーズンと比べると、4倍に近い。今シーズンのこれまでの数字を元にすると、オーバーテイクの合計回数は、20世紀と21世紀の変わり目のころに近い数字に回帰していくと考えられる。
しかし中国GPやバーレーンGPでの手に汗握るような一連のオーバーテイクを見れば、合計回数が減ってきているとはいえ、その質は向上しているとみて間違いない。2016年シーズンに78回の追い抜きを行い、1シーズンあたりの回数で最多記録を更新したフェルスタッペンは、今季はDRSの使用頻度が低くなっていることを喜んでおり、次のように話した。
「昨シーズンよりは難しいが、全然悪くないよ。新品タイヤを履いていれば、1周か2周は本気で挑める」
「今季はDRSがあまり役に立っていない。中国GPでは、ほとんどの追い抜きはDRSなしでやったんだ。その方がもっと楽しめる。中国のターン6の進入は、ブレーキングを遅らせれば遅らせるほど良いオーバーテイクポイントになるんだ」